二つ二つの場にて 早く死ぬはうに片付くばかりなり
別に仔細なし 胸すわって進むなり
これは葉隠の中で最も有名な言葉です。
死を覚悟し胸すわって進めと言っているわけですから、戦時中は政治的にも利用されたそうです。
しかし、葉隠は別に主君のために死ねと言っているわけではありません。”勇気”の重要性を説いているのです。武士の誇りとして死を受け入れることを説いているのです。したがって、究極的には、自分のためです。
我人 生くる方が好きなり 多分好きの方に理が付くべし
若し図にはずれて生きたらば 腰抜けなり
ある哲学者が何かの本の中で
freedom = brave
だと述べていました。
確かに、考えてみれば、勇敢な人は真の自由人です。憲法に~の自由とか~の権利とか書いてあろうがなかろうが、本当の自由人は、自分の信じるところにしたがって、やりたいことをやるはずです。逆に法律が如何に自由や権利を保障しても、臆病な人には何もできません。本当にやりたいことって、様々な障害を伴うはずですから…。したがって、真にその人の行動の自由を保障するのは、法律ではなくて勇気だと思います。
現代に生きるボクたちは、法律レベルでは様々な自由や権利が与えられているのにもかかわらず、最も不自由な人生を送っている人たちで溢れているように思えます。
だから、この葉隠の言葉は、現代社会に生きるボクらにとって、不思議な輝きを放っていると思います。
そして、葉隠は次の言葉で締めくくっています。
毎朝毎夕 改めては死に改めては死に
常住死身になりて居る時は 武道に自由を得
一生落ち度なく 家職を仕果すべきなり