どうして弁護士になろうと思ったのか、と…。
特に、ボクのように、経歴が変わっていて、おまけに法学部出身でもないと、このような質問をよく受けます。
その度に、どのように答えたのか、よく覚えていませんが、一番大きな理由は、「司法試験が当時最難関の国家試験だったから」ということにつきます。当時の司法試験は、「現代の科挙」と言われていました。
ボクが司法試験の勉強を開始した当時、合格率は約2%でした。ボクが合格した平成5年の合格率は約3%です。ボクの周りには、10回以上受験してやっと合格できた人、中には20回以上受験してやっと合格できた友人もおります。
言うまでもなく、試験の難易度は、競争率だけでは決まりません。「受験生の質」も重要なファクターになります。例えば、ボクが司法試験の勉強を始めた頃、英検1級の合格率は約1%だと言われていました。合格率だけで比較すると、司法試験よりも難しいんです。
でも、英検1級のほうが司法試験よりも難しいと思っている人はほとんどいないと思います。直感的に考えても分かるように、英検1級はただの検定試験で、せいぜい履歴書の見栄えをよくする程度に過ぎません。でも、司法試験は人生がかかってます。当時の司法試験受験生の多くは、一流大学の法学部出身者でした。そうすると、日本全国から秀才を集めて競争させている…。しかも、人生がかかっている…。となると、英検1級と司法試験とでは、受験生の質がかなり違いそうだということが分かると思います。もっとも、受験生の質の定量化は難しいですが…。
とまあ、そんな理由で、外大生だったボクは、英検1級を受験したこともないのに、司法試験を目指すことにしたのです。やっぱり高い山には登りたかったんですね。
でも、弁護士になって思ったのですが、世の中には司法試験よりも難しいことがたくさんあります。
初心を忘れずに、困難な問題にこれからも挑戦していきたいと思います。
「心を尽くし、精神を尽くして、狭き門より入れ」
-ルカによる福音書