2012年から、司法試験の受験資格を得るための予備試験が開始されました。
この年の受験生は7183人だったそうです。
そして、2013年には、受験者数も9224人に激増したそうです。
現在の司法試験は、原則として、法科大学院(いわゆるロー・スクール)を卒業しないと受験資格がありません。
しかし、この制度だと、経済的理由などで法科大学院に進学できない人は、法曹への道が閉ざされてしまいます。
そのような人たちに、法曹への道を開くために、予備試験というのを課し、これに合格した場合には、法科大学院を卒業していなくても司法試験の受験資格を認めるとするものです。
ところが、この予備試験が非常に厳しくて、100人くらいしか合格できません。合格者を増やしてしまうと、誰も法科大学院に進学しなくなってしまいます。ということなので、予備試験合格者を少なくしたいという法務省の意図は分かります。
しかし、100人程度となると、合格率は約1%です。
旧司法試験でも、合格率は2%~3%でしたから、合格率でいうと、旧司法試験よりも合格しにくくなっています。
したがって、これだけ見ると、法科大学院卒業生よりも、予備試験合格者のほうが優秀に思えてしまいます。
しかも、それを裏付けるように、実際に予備試験合格者が司法試験を受験してみると、その合格率は、何と7割を超えたそうです!
つまり、どこの法科大学院よりも、予備試験合格者のほうが合格率が高い、という結果が出てしまったんです。
このような結果を受けて、一部の人気法律事務所では、予備試験合格者対象の就職説明会を開催するような動きが出てきました。
まだ司法試験に合格していないのに、です。予備試験合格者は優秀な上に、100人という希少価値…。なので、青田刈りしてしまおうということだと思います。
これは、まさしく旧司法試験の復活を意味すると思えませんか?
日弁連新聞2014年2月号によると、京都大学の土井真一教授は、予備試験を「法曹への最短ルートとなっており、既に当初の目的とかけ離れた制度と化している」として厳しく批判しているそうです。
予備試験が早速批判にさらされておりますが、予備試験廃止などという方向に行かなければ、と願っています。
ボクは、基本的に法科大学院廃止論者で、今の予備試験を司法試験にしてしまえばいいと思っています。
別に、”旧司の復活”を願っているわけではありません。もし法科大学院がなくなって、予備試験が司法試験に変われば、予備試験合格者の数は100人ではなくて、2000人になるわけですから、合格率1%なんて話にはなりませんよ。
そして、法科大学院に行く必要もなくなりますから、学費のための借金もしなくてすみます。
でも、法科大学院を廃止することは100%できないと思います。
なぜならば、多くの大学がこのために多額の投資をしてしまったからです。法科大学院のための校舎を建て、教授陣を揃えた以上、今更廃止されても困るわけです。
つまり、法科大学院の利害関係者の既得権益を守るために、ボクらは今後この制度をみんなで支えていかなければならないんです。