昨日、某法律事務所のボス弁と、そこの支店長(うちでは支部長と呼ばれています)就任予定の勤務弁護士さんと会食しました。
近々、埼玉県内の某市に支店を出す予定があり、支店就任予定の勤務弁護士さんを紹介されたんです。
ボクが少々驚いたのは、その勤務弁護士さんが66期だったことです。
66期ということは、昨年12月に弁護士登録したばかり。実際に執務を開始したのは今年に入ってからだと思いますから、勤務弁護士としての経験は、1ヶ月半程度ということになります。
話を聴くと、支店長就任を前提として雇用されているということでした。
東京に事務所を構える多くの法律事務所は激しい過当競争にさらされており、新しい市場を求めて地方に支店ないし支部を展開していくという動きが盛んになってきています。
その点は、うちも例外ではありません。
しかし、弁護士法人ALGでは、基本的に弁護士登録をしたばかりの新人勤務弁護士に支店(=支部)を任せるという方針は採っていません。
その理由は、
①支店・支部長に就任する以上、”社員弁護士”として弁護士法人全体について無限連帯責任という重大な責任を負うこと。
②本部からの遠隔操作には限界があり、支店・支部の経営管理責任者として、実質的にそのエリアのマネジメントをできる資質が問われること。
③後進の勤務弁護士や職員の教育を行うため、一定程度の実務経験が必要なこと。
と考えられるからです。
そのため、うちでは、新規登録弁護士をいきなり支部長に就任させるということはやっていないし、今後もやる予定はありません。
支部を任されたエリアの統括責任者として、かなりの器が要求されるからです。
本来支部長とは、なりたくてもなれない、憧れのポジションであるべきだと思います。
もし、採用段階で初めから支店長就任前提で採用すると、内定をもらった司法修習生は、就職難という足元を見られて、「地方に飛ばされる」という認識をもつでしょう。
それどころか、「名ばかり支店長」として、無限連帯責任という重責を負わされ、法律事務所に就職した後の仕事へのモチベーションも低下するのではないかと危惧します。
東京での競争激化で、急ぎ地方展開をしたいという気持ちは理解できるのですが、支店長ないし支部長というポストは、やはり憧れのステイタスであるべきです。
その某事務所の新人弁護士さんが、へこむことなく、大事な支店の責任者として活躍してくれることを祈ります。