新司法試験合格者が弁護士として仕事をするようになって、5年が経過しました。
新司合格の第1期生は新60期ですが、今年弁護士になった人たちは新66期です。
うちの事務所の所属弁護士の構成比を見ても、圧倒的に新司合格組で占められており、ついに新司合格組のパートナー弁護士も誕生しています。昨年、新61期の所属弁護士が1名、パートナーに昇格したからです。
さて、新司合格組の弁護士が誕生して5年が経過しましたが、この5年間を総括した上でのボクの感想は、
問題なし!
です。
一時期は、質の低下も叫ばれていましたが、新司合格者と一緒に仕事をしていて、特に問題を感じていません。
正直言って、過去には問題がある弁護士もおりましたが、それは新司法試験のせいというよりは、はるかに属人的要素のほうが強いと感じています。
分析力、コミュニケーション能力、文章力のいずれにおいても、旧司法試験合格者と変わらないと思います。
ただ、だからと言って、これからの人生、弁護士としてやっていく上で何も心配がないかというと、必ずしもそうではありません。
まず、弁護士が激増している過当競争時代に直面しているという現実。
これは無視できません。新司合格者が弁護士としての能力面で問題ないとしても、昔の古き良き時代に弁護士となった諸先輩方とは違った苦労を覚悟しなければなりません。
営業力とかマーケティングのセンスとか、ボクが弁護士になった頃はあまり意識してこなかったような能力も培うことがこれからは重要なのではないでしょうか…。
うちの事務所でも、新60期、新61期あたりの若い勤務弁護士が何人か独立して行きましたが、あまり上手くいっていないようです。
何がどう上手くいっていないのか、についてはボクなりの分析が出来ています。
若手弁護士の独立のための指南は、このブログでも今後取り上げていきたいと思いますが、抽象的に一言で言えば、
準備不足です。
第1に、弁護士業界の動向に関する分析が甘い。
第2に、開業エリアや取扱分野の選択など、詰めが甘い。
要するに、準備不足なんですよ。
不思議なのは、ボクが独立開業した時代よりも厳しい時代に直面しているはずなのに、ボクらの時代よりも楽観的に見ている若い弁護士さんが多いことです。
正直、ボクらの世代が独立開業した時のほうが、はるかに慎重で計画的でした。
準備不足で楽観視しすぎて将来不祥事を起こさないか、それだけが心配です。
若い弁護士が将来躓かないように、”若手弁護士の独立指南”もこのブログで取り上げていきたいと思います。