弁護士 金﨑 浩之 

 もうすぐ都知事選ですが、我が弁護士会も選挙の季節です。

 選挙と言っても、今回は日弁連の会長選挙と東京弁護士会の常議員選挙です。

 常議員というのは、分かりやすく言えば、弁護士会を国に例えると、国会議員のような存在です。でも、常議員が何を決めているのかはよく知りません(笑)。

 投票日は今週の金曜日なのですが、都合が合わず投票に行けないので、今日、不在者投票してきました。

 ボクは、国の政治には知的好奇心のレベルで興味はありますが、弁護士会の政治には、知的好奇心の観点からも、また個人的利害関係からも、今まで全く興味を持ったことはありませんでした。

 しかし、これからは弁護士会の動向にも関心を持つべきだと思うようになりました。また、同業者の知人・友人もたくさん作らなければならないと感じています。

 このように、ボクのスタンスが大きく変わったのには理由があります。

 お陰様で、弁護士法人ALGは、ここ10年間で大きく成長しました。

 ボクが、八王子市に弁護士法人ALGの前身である法律事務所北斗を立ち上げたのは、約10年前でした。弁護士はボクひとりで、事務職員もひとりという、細々としたスタートでした。
 あれから10年経った今、弁護士は40名近くなり、拠点も東京だけでなく、大阪、名古屋、大宮、横浜、宇都宮と、6拠点あります。

 しかし、ここ最近急成長した法律事務所は、”新興事務所”と呼ばれ、同業者から冷たい目で見られてしまいます。

 確かに、この10年間で急成長した法律事務所のほとんどが、広告規制解禁後の法律事務所であり、積極的な広告戦略を打ち出して急成長してきたものばかりです。広告を活用したという点では、弁護士法人ALGも例外ではありません。
 このように、広告で集客している弁護士は、”金儲け主義”だと見なされて批判の対象になってしまうのです。

 確かに、そのように批判されても仕方がない新興の法律事務所も少なくないのは事実だと思います。

 しかしながら、うちの場合は、広告といえども、テレビCMのような派手な手法は採らず、あくまでもホームページ中心です。しかも、他の事務所に先駆けて専門事業部を創設し、弁護士の専門性強化に地道に取り組んでおります。
 それだけではなく、一見して儲からないような案件も積極的に受任しています。例えば、交通事故のケースだと、死亡事故や重篤な後遺症案件ではない、むち打ち事案も受任しています。他の法律事務所の中には、死亡事故と重度の後遺症案件以外はお断りと打ち出しているところも実際にありますが、ボクらはそのような姿勢で取り組んではいません。
 医療事件の場合、美容外科系や歯科、眼科系は儲からないのでやらない方針を打ち出している法律事務所もあるのに、弁護士法人ALGでは、これらの事案にも対応しています。もっと言えば、ペットの医療過誤も扱っているんです(これは本当に労力に見合わない)。

 さらに付け加えると、弁護士法人ALGの事業収益の約50%は法人顧客なんです。しかも、これらの法人顧客の多くは、上場企業を含む大企業です。これらの大企業はホームページを見て依頼などしてきません。地道な取り組みと信頼がないと依頼してこないんです。大企業のM&A案件も少ないですが、ここ数年毎年受任しています。

 ところが、ホーム・ページなどで広告を出していると、それだけで同業者から、”金儲け主義”の新興事務所だと十把一絡げに扱われ批判されてしまう。

 この誤解を解くには、やはりコミュニケーションしかないと思うんです。

 職場でもそうですよね。上司と部下の間にコミュニケーションがなくなると、お互いの誤解から信頼関係の破綻にまでつながっていきます。
 同業者との関係でも同じだと思うんですよね。

 コミュニケーションがないと、同業者からは、「金儲け主義の新興事務所と弁護士法人ALGの何が違うんだ!」と思われてしまいますが、コミュニケーションがあれば、そのような誤解を解く機会があります。
 弁護士法人ALGの真摯な姿勢や地道な努力も理解してもらえると思うんです。

 そこで、今までは同業者との交流を面倒くさがって怠ってきたのを反省し、これからはコミュニケーションを図って理解を求めていく、そんな努力も必要だと感じています。