今月の「自由と正義」に大変興味深い懲戒事例が掲載されていたので、ご紹介したいと思います。
内容は、職場での性的な行為をしたということで、その弁護士が戒告処分を受けました。ちなみに、処分者は日弁連です。原判断をした第一東京弁護士会は、セクハラ・パワハラがあったとは認定できないとして、不処分とし、これに対して懲戒請求者が不服申立てをしたため、日弁連が審理することになり、上記のような結果になったんです。
懲戒請求者の女性は、あくまでセクハラ・パワハラを受けたとして懲戒請求しています。
ボクの個人的な見解を述べる前に、その内容を一部抜粋しましょう。
「原弁護士会が判断したように、懲戒請求者が長期間、多数回にわたって被懲戒者の本件行為に不快感や嫌悪感を抱きながら、やむなく従ったと認定することは困難であり、これをもってハラスメントと認定するのに困難が伴うことは否定できない」
原弁護士会とは第一東京弁護士会のことです。そして、被懲戒者とは、処分を受けた弁護士です。
日弁連も、一弁と同じように、セクハラ・パワハラとは認定できないとしています。では、なぜこの弁護士は戒告処分となったのか。その続きの文章を紹介します。
「しかしながら、本件行為は、…中略…事務職員である懲戒請求者という関係下で、長期間、多数回にわたり行われたものであって、不正常、不適切な行為であると評価されるところであり…中略…法律事務所における職場秩序のあり方という観点から見ても、強い非難に値するものであると言わざるを得ない」
要するに、職場で性的な行為をするなんて問題ありでしょ!ということのようです。
この懲戒事例いくつか問題があります。
第1に、長期間、多数回にわたって性的な行為があったことは認定しておきながら、なぜセクハラ・パワハラと認定できないのでしょうか。ここからはボクの憶測ですが、この弁護士と事務員さん、たぶん交際していたんだと思います。付き合ってもいない男性から職場で性的な行為をされて、不快感・嫌悪感を抱かない女性なんているんですかね。
第2に、職場での性的な行為が不適切なことは否めませんが、まさか他の弁護士や職員の面前で行ったわけではないでしょう。もしそのようなことをしたのであれば、懲戒当然だと思うのですが、書いていないということはそこまでのことはしていないという推論が成り立ちます。
ということは、この2人、付き合っていたのだけれども、痴情のもつれでその女性事務員が逆恨みし、懲戒請求したんだと思います。
皆さん、こんなプライベートなことで、懲戒する弁護士会ってどう思います?
ちなみに、その日弁連決議には、「懲戒しないとすべきである」という反対意見もあったと書いてありました。