弁護士 金﨑 浩之 

 弁護士会で今、弁護士報酬規程復活の兆しが出てきたことについては、昨日、このブログで書きました。

 今日は、その続きを書きたいと思います。

 弁護士報酬が自由化されて、いくつかの弊害が指摘されるようになってきたんですが、その最も大きい弊害は、高額な弁護士報酬の出現です。これが完全成功報酬型とドッキングすると、弁護士も高額な成功報酬を請求しやすくなります。

 逆に分野によっては、ダンピング合戦も展開されております。

 「そんな報酬額でペイするの?」と疑いたくなるような低額報酬で依頼を引受ける弁護士が増加しているのも事実です。
 ペイしない仕事をペイさせる方法は、2つしかありません。
 ひとつは、業務改善を行って仕事の効率を上げること。もうひとつは、手抜きです。前者なら従来のクオリティーを維持できますが、後者であれば確実にサービスの質は低下します。そして、手っ取り早い方法は後者ですから、多くの弁護士がこちらに殺到することは想像に難くありません。

 先ほどの完全成功報酬型には、高額化傾向以外にも、仕事の”塩漬け”を正当化しやすいという問題点もあります。お金をいただいていないのだから、この仕事は後回し、ということになりかねません。弁護士の心情として、やはりお金(着手金)をいただいている仕事を優先してしまうと思いますから。

 このように、様々な弊害が指摘できるところですが、独禁法との関係を考えれば、弁護士に対する強制力を持たせるような意味での報酬規程の復活は難しいと思います。
 尊重すべき指針くらいにとどまるのではないかと見ています。