弁護士 金﨑 浩之 

 連休最後の日ですが、残念ながらお休みとはいきませんでした。
 
 今日は浅草で、東京三会主催の第67期司法修習生就職説明会がありました。

 お陰様で、我が弁護士法人ALGのブースは、全クール大勢の修習生が集まってくれてご盛況に終わりました。
 67期も優秀で気概に溢れる新人弁護士を迎えたいと思います。

 さて、今回も多くの弁護士事務所がブースを出していたので、ボクなりに各事務所のブースの人気・不人気状況を分析してみました。ちなみに、弁護士事務所だけではなく、インハウスを募集している民間企業や地方の単位弁護士会もブースを設置していました。

 まず、大まかに言うと、多くの修習生が集まり人気を博していたのは、東京都内に事務所を構えている、一般民事系の弁護士事務所でした。
 また、インハウスを募集する民間企業もかなりの人気でした。以前は不人気だったインハウスも、現在では就職先として魅力的なようです。修習生の意識変化も伺え、弁護士事務所離れが進んでいるという印象を受けました。

 これに対して、他府県の弁護士事務所や単位弁護士会は不人気だったようです。
 東京で開催されている就職説明会ですから、東京での就職を希望している修習生も多いと思われますので仕方がないと思いました。が、単位弁護士会に関しては、そもそも弁護士事務所ではないので、修習生としても地方での就職に関する”一般論”しか聴けず、ブースとして魅力がなかったのではないかと思われます。修習生としては、就職先として興味がある弁護士事務所の話が聴きたいわけですから…。

 あと、年俸の極端に低い弁護士事務所も不人気でしたね。
 まあ、これも当たり前か。
 一番低い年俸を提示している弁護士事務所は、年俸240万円でした。

 「年収300万円の時代」という本がベストセラーになりましたが、それにも及びません。
 他に年俸提示額が低い事務所は、300万円、400万円、500万円といった感じでした。

 俗に新規登録弁護士のスターティング・サラリーは、年俸600万円が相場だと言われていますが、それも変化しつつあるように思います。

 しかし、年俸だけが決め手ではありません。

 先に触れたように、民間企業のインハウスのコーナーには、多くの修習生が詰めかけていましたが、各企業が提示している年俸の相場は、一部の例外を除いて、250万円~300万円の間が多かったです。
 正直言って、弁護士の年俸ではありません。

 それなのに、修習生の間で人気があった理由は、察するに勤務時間ではないかと思います。
 一般に、弁護士事務所は”激務”で有名で、おそらく低い年俸を提示している弁護士事務所も例外ではないと思います。
 これに対して、民間企業の場合、特に大企業が多いせいか、残業なしの条件が多く、お役所的です。
 プライベート重視の人にとっては、こちらの方が魅力的ですよね。

 さらに付け加えると、何と言っても”安定”だと思います。

 今、弁護士事務所はどこも厳しい競争にさらされ、伸び盛りの法律事務所といえども、それが未来永劫保証されているわけではありません。
 以前、過払いバブルの時代に急成長した弁護士事務所のほとんどが、今回の就職説明会では姿を消しました。

 そんな危ない業界に就職するくらいなら、大企業の法務部でインハウスとして働いた方が将来の安定が確保できます。

 実際に、今回の就職説明会でもメガバンクや大手総合商社のブースは、修習生で一杯でした。

 でも、弁護士事務所を経営しているボクとしては、これはむしろ好ましい傾向だと思っています。その理由は、

1、毎年、何百人もの修習生が就職浪人している時代なので、大企業がそれらの修習生の受け皿になってくれる(修習生にとってハッピー)。

2、安定志向の弁護士は正直言って使い物になりませんので、それらの修習生が民間企業に流れ、真に新進気鋭の人材が弁護士事務所に集まってくる可能性がある(弁護士事務所にとってハッピー)。

といった点にあります。

 まあ、双方にとってハッピーなわけです。

 いずれにしても、弁護士事務所は、安定に寄りかかるのではなく、自らがその弁護士事務所の発展を支える柱になりたいという気概を持つ若い弁護士さんを求めています。

 最後に、休日返上で就職説明会に参加してくれた所属弁護士と職員の皆さん、大変お疲れ様でした。ありがとうございました。