弁護士 金﨑 浩之 

 アマチュアのボクシングの試合では、ヘッドギア―を着用します。

 プロボクシングでは、ご存じの通り、ヘッドギアーを着用しませんが、普段の練習では、スパーリングの時にヘッドギア―を着用します。

 要するに、ヘッドギア―は、選手の安全性確保のためにするわけですね。

 でも、最近、このヘッドギアーをめぐって、アマチュアボクシング業界に新しい動きがあるそうです。

 先日、ボクシングの練習に行った際にトレーナーから聞いたのですが、アマチュアのボクシングの試合で、ヘッドギア―が暫定的に不着用となったそうです。
 あくまでも実験的な試みで、またヘッドギアー着用に戻る可能性はあります。

 では、なぜアマチュアの試合でも、ヘッドギア―を着用しないことになったのでしょうか。

 その理由は、ヘッドギア―を着用したほうが危険なのではないかという問題意識が産まれたからです。

 素人感覚で考えれば、ヘッドギアーを着用した方が安全な感じがするのですが、この問題意識、けっこう興味深いんです。

 その危険性の問題意識ですが、

第1に、頭にかぶったヘッドギア―の重さがパンチに付加されるので、脳に与える影響が大きいのではないか。

第2に、ヘッドギア―のせいで視界が狭くなり、結果的にもらうパンチが多くなるのではないか。

第3に、もらうパンチ一発のダメージは少ないが、そのためにノックダウンされずに却ってダメージが蓄積してしまうのではないか。

などといった点にあるそうです。


 それにしても、これらの問題意識はどれも仮説で、科学的な検証を経ていないようです。

 最近は、スポーツ医学・スポーツ外傷学の進歩もあるのだから、もっと科学的な根拠があってもよさそうなんですけど、残念ながらボクシングの科学的研究は遅れているような印象を受けます。

 スポーツ医学のコーナーで専門書をめくっても、ボクシングに関する記述がほとんど見あたりません。

 ボクシングって、一歩間違えれば命を落としかねない危険なスポーツなわけですから、もっと研究が進んで欲しいですよね。