先日、お酒の席で、ある女性に好みのタイプの男性について尋ねてみたら、「フィーリングが合う人」という答えが返ってきました。

 こう答える人ってけっこういますよね。以前、退職した勤務弁護士の送別会をやったときにも、「フィーリング」って言ってました。その人は男性でしたけど…。

 でも、フィーリングが合うって、一体どういうことでしょう?

 抽象的な概念を嫌うボクとしては、その実態を明らかにしてみたい。弁護士たるもの、曖昧な概念を具現化する、そういう表現力が必要です。フィーリングなんて、訴状や準備書面に書けませんからね。

 そこで、ボクは過去の自分の恋愛を振り返り、フィーリングが合うってどういう場合かを分析してみました。好きな人ができると、普通は次のいずれかのケースに直面します。

1, ボクは彼女を好きだけど、彼女はボクに興味なし(片想い)。

2, ボクは彼女を好きで、彼女もボクのことが好き(両想い)。

 さて、まず片想いのケースで、ボクは「フィーリングが合った」なんて感じたことはありません。フラれているのに、「いや~、オレたちって、フィーリングがバッチリだなあ」なんて感じていたらアホですよね。
 他方で、両想いの場合には、フィーリングが合っているという印象をボクも持ちます。ボクは彼女のことを好きなわけだから、そのような接し方になるし、彼女もボクのことを好きなわけだから、それなりの接し方をしてきます。なので、フィーリングが合っているような気持ちにお互いになるわけです。
 つまり、フィーリングが合っているというのは、定義するとこうなります。

 両想いの場合に、その男女が共有している心理状態

 そうすると、フィーリングが合うか否かは、好みの異性のタイプとは次元が異なる話になりませんか?
 好みのタイプって、自分の都合で決まるものですから。あちらがこっちのことをどう想っているかは関係ないですよねえ。

 ですから、みなさん。「フィーリングの合う人がワタシのタイプです」って言うのはやめましょうね。意味不明ですから。

 いずれにしても、弁護士は、こうやって、思考力と分析力を磨くんです。