田中真紀子さんが、3大学の新設を不認可にしたことが大きな問題になってますね。

 テレビのニュースを観ていると、ほとんどが不認可に対して批判的なようです。田中真紀子さんのことを”暴走老人”と評しているコメンテーターもいましたよね。

 今回の田中真紀子さんの判断は、確かに法律的には問題があるでしょう。新設予定の3大学が現行の認可基準を充たしている以上、認可するというのが法律の正しい運用だと思います。
 不認可とされた3大学は、訴訟も辞さないという強硬姿勢のようですが、もし本当に訴訟を起こされたら、文科省としては旗色悪いと思います。

 でも、ボクは、この度の田中真紀子さんのしたことは、”一石を投じた”という意味で評価しています。

 なぜかというと、少子化で学生の数が激減し、経営難に落ちっている大学が増えているなかで、次々と新しい大学が新設されているというのが実態だからです。地方のある新設大学では、学生のほとんどが中国人で、しかも彼らの目的が勉強ではなくて日本の在留資格取得にあるということで、講義にも出席していない、なんていう問題も起こっています。
 また、東京では、名門の東京女学館大学までもが経営不振で廃校予定です。
 少子化なのに大学の乱立で、「本当にこれでよいのか!」という問題意識は出てきて当然。
 大学は、私企業と異なり、公共性が強く、また伝統が大きく左右する業態ですから、”新設を認めて、競争させればいい”と単純には言い切れません。潰れるのは、名門大学ではなく、名もない新設大学です。
 また、認可された後で経営不振に陥れば、困るのは利用者である学生たちです。入学した大学がたちまち廃校では洒落になりません。

 したがって、国としては、大局的視野に立って、大学の数や質をコントロールする必要があると思うんです。

 問題は、そうした乱立防止のための基準が、現行の認可基準にないことだと思います。
 やっぱり現行の基準を大きく見直す必要はあると思います。

 ただ、だからといって、田中真紀子さんの今回の決断は、新設大学の関係者にとっては明らかな不意打ち。この3大学に関しては、認可するしかないのではないかと感じます。