合格者数は年間約2000人で、合格率は約20%というところですか…。
確かに、ボクが司法試験を受け始めた昭和63年当時は合格率が2%でしたから、かなり合格しやすくなった感じはします。
実際、新司法試験では1発合格が多いので、やはり時代は変わったな、と思う…。ボクの時代に1発合格なんかしたら、研修所では尊敬の眼差し。天才肌扱いされちゃいますから。
しかし、ボクは、合格者が2000人を越える今の司法試験であっても、諸外国と比較したら決して簡単な試験ではないと思っています。
例えばアメリカです。アメリカ全土の統一司法試験というのはなく、州ごとで司法試験が実施され、資格も州ごとに付与されます。ニューヨーク州弁護士とか、カリフォルニア州弁護士とか、いう具合に…。
日本の弁護士さんでもニューヨーク州の弁護士資格を取得して格好つけている人がいますけど、ニューヨーク州の司法試験の合格率は約50%です。他の州もだいたい同じくらいです。
ということは、試験の度に上位50%が受験界からいなくなります。
それだけではなく、試験は年2回あるんです。年2回、上位50%が合格していくんです。
さらに、アメリカには日本とは比べものにならないくらいの数のロースクールが存在し、かなりアホなロースクールもけっこうあるんです。難関校は一部に過ぎません。
そんなロースクールを卒業した連中が州の司法試験を受験し、50%が合格していく。しかも、年2回も試験は実施されて…。
正直言って、日本で弁護士を目指している人たちからすれば、こんな試験、合格できないほうがアホです。
しかし、しかし、です。
アメリカで真剣に”弁護士の質”など議論されたことはなく、合格者を減らせなんていう議論も聞いたことがありません。
それなのに、新司法試験制度が始まって、”弁護士の質”が神経質に議論されているのには個人的に違和感を感じます。
ボクは、新司法試験合格者の弁護士さんたちも、もっと胸を張っていいと思いますよ。