1.はじめに

 皆様、こんにちは。
 2015年ももう年末となり、忘年会シーズンということもあって、お酒を飲まれる機会も多いと思います。

 そこで、今日は、酒気帯び運転について取り上げたいと思います。
 酒気帯び運転の最中に、事故を起こしてしまった場合、運転者が酒気を帯びていた事実が被害者への損害賠償にあたってどのように考慮されているかを見ていきたいと思います。

2.酒気帯び運転って?

 まず、酒気帯び運転がどういう状態をいうかを見ていきましょう。

 酒気帯び運転は道路交通法65条1項によって禁止されていますが、そこでいう「酒気を帯びて」という状態については、社会通念上酒気帯びと言われる状態をいうものであり、外観上(顔色、呼気等)認知できる状態にあることを言うとされています。つまり、酒に酔った状態である必要はなく、運転への影響も外観上認知できることも必要とされていません。

 行政処分においても、もちろん酒気帯び運転は取り締まりの対象となっており、酒気帯びの程度として、呼気中アルコール濃度0.15㎎/l以上0.25㎎未満(基礎点数13点)と呼気中アルコール濃度0.25㎎/l以上(基礎点数25点)ということで区分が設けられているようです。

3.損害賠償の場面での酒気帯び運転の考慮

 このように、酒気帯び運転については行政処分の対象となるところ、被害者への損害賠償の場面においても影響を及ぼす場合があります。

 まず、過失割合の認定において影響を及ぼすことがあります。
 具体的な事故状況によってもちろん差異はありますが、一般的には、酒気帯び運転している最中に、事故を起こした場合、運転者の著しい過失として5~10%程度被害者に有利に過失割合が修正されるとされています。
 この著しい過失とは、事故態様ごとに通常想定される程度を超えるような過失というとされており、酒気帯び運転は、この著しい過失に該当しうると考えられているのです。

 また、酒気帯び運転が慰謝料の算定にあたっても増額の一要因として考慮されることもあります。

4.最後に

 年末になって、お酒を飲む機会も多いと思いますが、「飲んだら乗るな、飲むなら乗るな」ということは守っていただき、楽しくお酒を飲んでいただければと思います。