こんにちは。すっかり暖かくなりましたね。今週末は、皆さまお花見でしょうか。
さて、先日、宇津井健さんという俳優さんがお亡くなりになり、亡くなる当日にある女性との間の婚姻届を出した、というニュースがありました。このように亡くなる直前の結婚となると、よく、「遺産目当ての結婚では?」などと勘繰られることもあります。宇津井さんと結婚した女性は、かなりの資産家らしいので、遺産目当てとは言えないとは思いますが、亡くなった方が資産家、そのお相手があまり財産を持っていない人、という場合は、あらぬ疑いをかけられてしまうかもしれません。
とはいえ、余命わずかになった人が「亡くなったら好きな女性に遺産をあげたい」と考えることはありうるわけで、いくつか方法が考えられます。
ひとつは、上記のように結婚してしまうということ。こうすれば、法律上、配偶者として、相続人になれます。
二つ目は、その女性に遺産をあげる、という内容の遺言を書くこと。配偶者になる場合と違い、その女性は法定相続人ではありませんが、法的に遺産を取得させることができます。
とはいえ、二つ目の方法は、余命わずかな人が行うには労力がかかるかもしれません。遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、危急時遺言等がありますが、いずれも、婚姻届を書くのよりは、細かい思考と作業が必要になります。
自筆証書遺言では、自分で書いて、誰かのチェックを受けなくても完成はしてしまうのですが、不備があった場合に有効性が疑われたり、間違った解釈をされてしまう可能性もあります。
公正証書遺言では、公証人が作成するので、不備は生じにくいですが、公証役場での手続ですので、余命わずかな人がそのような余裕がない場合もあります。
危急時遺言というのは、それこそ死が差し迫っている人に向いているのかもしれませんが、証人3人が必要、遺言の日から20日以内に家裁の確認を受ける必要があります。
できるなら、余命わずかになる前に遺言を整えておくのが理想的ですが、婚姻届1通で済んでしまう結婚の手続きのほうが、実は、好きな女性に財産を遺す方法としては、簡易なのかもしれません…。
しかし、結婚となると、親族関係があらたに生じることになりますので、当事者同士は良くても周りが納得しないリスクもあるでしょうね。
最近では、法的に結婚せず、事実婚状態にして、パートナー間で互いに遺産を遺す内容の遺言を作る人もいるようです。
あえて結婚という手段を選ぶ人と、あえて遺言という手段を選ぶ人と、いろいろいるのですね。