1. 遺産を評価するときの問題点
遺産には現金、預貯金、不動産、株式、貴金属など様々な財産が含まれていることが普通です。これら相続財産を、複数の相続人に公平に分配するには、遺産に含まれる全ての財産の価値を明らかにする必要があります。つまり、遺産を評価して、値段をつけなければいけないわけです。
もちろん、相続人間の話合いで、遺産の分配について合意ができればわざわざ値段をつけなくても良い場合もあるでしょう。ただ、話合いの中で円満に合意を形成するために必要な範囲で、あるいは、相続人自身が納得するために、遺産の値段を出す場合も多いといえます。
そこで、遺産に適切な評価を加えなければならないのですが、ここで問題となるのが、一体いつの時点での評価をすればよいのかということです。というのも、被相続人が亡くなり相続が開始してから、現実に遺産が分割されるまでには、年単位の時間がかかることも少なくありません。この間、遺産の評価額は絶えず変動しているのです(上場株式が典型例ですね。)。では、遺産を評価する時期の基準をどの時点にすればよいのでしょうか。