こんにちは。弁護士の沖田です。

1 母親でないと監護権は獲得できない?

 子の引き渡しについての御相談を受ける際、必ずと言っていいほどいただくのが、

 「母親でなければ監護権獲得は難しいのでしょうか。」
(あるいは、「母親であれば監護権獲得は確実でしょうか。」)

 というご質問です。

 結論から申し上げると、母親であろうとなかろうと、子の面倒をしっかり見ていない場合には、監護権の獲得は至難です。

2 子どもの面倒を一番見ていたか等を考慮します

 古い裁判例では、母親であることそれのみを重視して監護権を認めていたものが存在していたようです。

 しかし、現在の裁判所の判断の傾向を見てみますと、
 母親=監護権者
 と単純化して取り扱っているわけではないことがわかります。

 現在の子の引き渡し・監護者指定審判の際には、「主たる監護者」(子の面倒を一番見ていた人)は誰であったかという観点を含め、様々な要素を総合的に考慮して判断がなされています。
 したがって、子の世話(食事の用意、寝かしつけ、各種送迎等々多岐に渡ります)をほとんど妻まかせにしている夫の場合は、監護者の指定を受けたり、子の引き渡しを受けることは難しくなります。

 逆もまた同じで、子の育児を完全に夫任せにしている妻も、監護者の指定を受け、子の引き渡しを受けることは困難と言わざるを得ません。

3 監護権についてご不安な場合は弁護士にご相談ください

 主たる監護者か否かは、裁判所が監護権者を判断するにあたって重要となる要素ですが、他にも種々な要素が考慮されて総合的に監護権者は決められます。ご不安な場合は弁護士に相談されることをお勧めします。