こんにちは。寒い日が続きますが、ときどき春の花を見かける季節になってきましたね。
 さて、本日は、強制執行に絡んだ話をいたします。

 強制執行の場合によく取られるのが「債権執行」という方法です。これは、債務者が他人(第三者)に対して持っている債権を差し押さえたりして、債務者がその債権により得られるはずの金銭を、債権者が代わりに取得する、というイメージのものです。身近で分かりやすいもので、例えば、給与の差押えがあります。債務者が得られるはずの給与から、債権者が債権額に応じて金銭を取得するというものです。

 この債権執行ですが、債務者は当然、自分が債権者に対して支払いをしなければならないことはわかるのですが、第三債務者としては、いきなり債権差押命令が裁判所から来ることになるので、多少、まごつくこともあります。

 ただ、債務者に差押命令が送達されて1週間後から、債権者が第三債務者に対して取り立て(自分に支払ってください、という話)をすることができ、このときに第三債務者が任意に応じてくれれば、それで債権の回収ができます。

 しかし、第三債務者が、債権者に対してすんなり支払ってくれないときもあります。その場合、第三債務者としては、自分の支払い義務を果たさなければならないのですが、直接債権者に支払わなくとも、債権に相当する額の金銭を「供託」すれば、自分の支払い義務を果たしたことになります。

 ただ、供託になるとやっかいなのが、「配当」の手続きが入ることです。配当というのは、供託された金銭をどのように債権者に分配するのかを裁判所が決める手続きです(債権者が一人であってもこのような手続きが入ることがあります)。

 配当の手続きが入るとやっかいなことの一つは、「配当期日」は、約1か月後に設定されることです。つまり、任意に支払ってもらえれば、短期間のうちに支払いを受けることができるのですが、配当の手続きが入ると、それと比べて1ヶ月程度、金銭取得が先延ばしになるというのです。

 強制執行は、このような流れになることもありますので、強制執行で得られる金銭をもって資金計画を立てるのであれば、このようなスケジュール感も持っておいた方が良いですね。