こんにちは。

 今回も引き続き、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下、「高年法」といいます。)の一部を改正する「高齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」についてお話しさせていただきます。

 今回のテーマは「労使協定による継続雇用の対象者を限定する仕組み」を採用している企業において、そのような仕組みを今後も一定期間利用することができるという経過措置です。

 改正高年法において、「労使協定による継続雇用の対象者を限定する仕組み」の「廃止」がなされたことは、前回述べた通りです。

 しかし、改正高年法においても、従前許されていた「除外規定」を設けた継続雇用制度を引き続き利用することが、経過措置として許されています。
 仕組みとしては、年金受給可能年齢までは希望者全員を継続雇用し、それ以降においては、65歳に達していなくても、除外規定を用いた継続雇用制度を適用することができる、ということになります。

 このような経過措置を改正高年法が採用しているのは、改正高年法の趣旨と年金受給可能年齢の推移からきているものと考えられます。改正高年法は、高年齢者の無収入状態を防ぐことをその趣旨としているため、年金が支給されている状況であるならば、その保護の必要性は及ばないからです。一方で、厚生年金受給可能年齢は、平成37年4月1日から65歳となるように、現在は、段階的に年金受給可能年齢を引き上げています。そのため、改正高年法における65歳までの継続雇用の原則を貫くと、年金受給可能年齢との乖離が生じることになり、これに対応することができるような規定として経過措置が許されるに至ったわけです。

 なお、以上のような経過措置を定めるに当たっては、就業規則においてその旨を定める必要があるとともに、除外規定に関する労使協定を締結する必要があることを注記させていただきます。

弁護士 中村 圭佑