マンションの管理組合が管理費に含めて町内会費を徴収することは法的に認められるのでしょうか。

 管理組合は、「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」(区分所有法3条)です。この規定からすると、建物やその附属施設と直接関係のない町内会費を管理費に含めて徴収することが管理組合の目的である建物、その敷地、附属施設の管理に含まれるかということが問題となりそうです。

 裁判例では、通常の管理費のほかに、管理組合運営のための費用400円と町内会費100円の合計500円を管理組合費として徴収していた管理組合が、管理費及び管理組合費を支払っていなかった居住者に対して、管理費及び管理組合費の支払い請求をした事案で、管理組合費に含まれている町内会費を支払わなければならないかが問題となったものがあります(東京簡裁平成19年8月7日判決)。

 この裁判例は

「区分所有法第3条、第30条1項のよると、原告のようなマンション管理組合は、区分所有の対象となる建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うために設置されるのであるから、同組合における多数決による決議は、その目的内の事項に限って、その効力を認めることができるものと解すべきである。しかし、町内会費の徴収は、共有財産の管理に関する事項ではなく、区分所有法第3条の目的外の事項であるから、マンション管理組合において多数決で決定したり、規約等で定めても、その拘束力はないものと解すべきである。」

と判断し、管理組合による町内会費の徴収を認めませんでした。

 区分所有法第3条の文言や管理組合の目的からすると、やむを得ない結論ではないかと思います。もし、管理費のほかに町内会費も徴収している管理組合がありましたら、管理費等の滞納者がいても町内会費の支払いを強制することはできないので気をつけましょう。

弁護士 竹若暢彦