平成21()15 損害賠償請求控訴事件  
平成211021日 岐阜地方裁判所

棄却 (原審 岐阜簡易裁判所)

 

本判例は、駐車代金の精算を、利用者が精算機に千円札または硬貨を入れることで行うことになっている無人の駐車場の利用契約の成立に関する判断であり、利用条件を記載した看板の記載と、無銭駐車状況を照らし合わせて、管理者と無銭駐車者との間の利用契約の成立を認めなかったものであり、管理者の無銭駐車の取り締まりに関して、参考となる。(文責 弁護士鈴木理子)

 

(判決内容の要約)

問題となった駐車場は、駐車場の看板に、

「昼間8:00~18:00 100円/40分 夜間18:00~8:00 200円/40分 土日祝昼間8:00~18:00 100円/30分」と大きな文字で書かれ、

「入庫時フラップ板(ロック板)が下がっていることを確認の上、ゆっくり入庫してください。フラップ板を前輪又は後輪で完全に乗り越えて車室枠線内に駐車してください。」「出庫時料金精算後、フラップ板が完全に下がったことを確認の上、5分以内に出庫願います。」「駐車場のご利用は、48時間以内に限ります。ロック板が上がっていたり、車高が低く、車に破損を与えそうな車両は十分に注意していただくか、又は駐車を見合わせてください。料金精算後にロック板が完全に下がって、車両が出庫出来るのを確認の上、車を出庫させてください。不正行為又は利用方法、利用規約に違反した場合、・・・駐車場利用者(所有者及び同乗者を含む。)は、(1)正規駐車料金、(2)損害賠償金(チェーン施錠、レッカー移動費用等実損諸費用)及び(3)違約金10万円を管理者に支払わなければなりません。」などと小さな文字で書かれた看板があるという状況である。

 

控訴人は、本件駐車場の管理者、被控訴人は、本件車両を本件駐車場に駐車した際、本件車両がフラップ板を踏みつけた状態で駐車し、駐車料金の支払いをしないまま、出庫した者である。

 

判決は、

「財又はサービスの提供を受けようとする者が、自ら硬貨や紙幣等を入れて代金を精算するという無人の設備でもって、財又はサービスの提供を受けた場合、財又はサービスの提供者と利用者の双方とも契約の申込み又は承諾の意思表示をしたとはいえないものの、財又はサービスの提供者と利用者の双方が契約を成立させる意思を有すると認められる限りにおいて、その契約が成立したものと解するのが相当である。」

と判示した上で、

本件では、被控訴人が、フラップ板を踏みつけた状態で車両を駐車し、駐車料金の支払いをしないまま出庫していること、また、控訴人が駐車場施設を設置して看板に賃貸する意思があることを掲示しただけでは、本件契約の申込みの誘因があったというにとどまり、控訴人に本件契約の申込みの意思表示があるとはいえず、さらに、被控訴人が看板を見て駐車場内に駐車しただけでは被控訴人に本件契約の承諾の意思表示があるとはいえないとし、被控訴人は、そもそも本件駐車場の駐車料金を支払う意思は全くなく、本件契約を締結する意思がなかったと結論付け、控訴人の請求を棄却した。