1 マニフェストの変更

 マスコミの報道にもあるように、民主党が選挙で掲げたマニフェストの内容が変更されることになります。
 具体的には、同党のマニフェストの目玉政策とも言える暫定税率廃止や、子供手当に関して変更されます。暫定税率に関しては、廃止を見送り、現状通りこれを維持する。子供手当については、受給要件に所得制限を新たに加えることになるそうです。

 さて、このマニフェストの変更に関して私が今回問題にしたいのは、変更それ自体というよりは、そのプロセスです。
 今回の変更劇は、政府主導で考えたものではなく、皆さんもご承知の通り、小沢一郎幹事長の政府に対する「重点要望」です。要するに、小沢さんから要求され、政府がそれを受け入れるという形です。

2 憧れは最高実力者

 小沢さんは、今でこそ政権交代を実現した民主党の幹事長ですが、自民党の幹事長時代は、今は亡き金丸信さんの秘蔵子でした。当時まだ若手のリーダー格にすぎなかった小沢さんが、次期総裁候補者3名を呼び出して面接したというのは有名な話ですよね。金丸さんの後ろ盾があったのでそんなことができたわけですが、金丸さんがリクルート事件で失脚し、その後亡くなれれてしまい、小沢さんは後ろ盾を失ったことによって、いっきに党内の求心力を失っていきました。
 それと新党ブームが重なって、自民党に居場所なくなった小沢さんは、羽田孜さんらと自民党を飛び出して新党を結成しましたよね。確か、平成5年頃のことだと記憶しています。

 さて、最近の小沢さんを見ていると、どうしても金丸さんのことを思い出してしまうんです。
 金丸さんは、自ら総理大臣になることはせずに、背後で自民党政府を操っていました。総理大臣ではないのに、事実上、日本の政治のトップにいたわけです。
 そこで、新聞等のマスコミは、金丸さんの肩書きをどのように表現していたかというと、「自民党最高実力者」と表現していたわけです。
 当時、ある自民党の政治家が、テレビの討論番組で、この現象について、「金丸さんは、「自民党最高実力者」とマスコミに書かれることを喜んでいるはずだ。なぜなら、そう書かれることによって、世間が、金丸さんのことを最高の権力者だと思うようになるから、益々人とカネが彼の所に集まり、権力がさらに増強されるから、とコメントしていました。

 最近の小沢さんの行動を見ていると、最高権力は小沢さんのところにあることを印象づけているような気がしてならないのは私だけでしょうか。
 小沢さんが自民党の若手議員等約160名を引き連れて北京詣でをしたのはついこの間のことですよね。あのときも、鳩山さんよりも、小沢さんのほうがリーダーシップがあることを国民に印象づけたはずです。
 正直言って、あのような行動は、鳩山さんの顔を潰していますので、本来ならばやるべきではないと思います。
 でも、小沢さんという政治家は、大局的な視野よりも、自己に権力を寄せ付けることに並々ならぬ関心と努力を振り向けるようです。権力の二重構造を印象づけるという意味で、政府にとっても民主党にとっても決してプラスにはならないはずなのに…。そんなことよりも、「我こそは権力者である」というメッセージを発することのほうが重要なんでしょうね。

 そして、今回の予算案に対する重点要望も、「やっぱり小沢さんが最高権力者だ」ということを裏書きしてしまったわけです。

3 権力の二重構造

 このままだと、小沢さんが「民主党最高実力者」と呼ばれるのは時間の問題のような気がします。今度は、民主党政権で「権力の二重構造」が発生してしまいます。

 今思えば、鳩山首相が組閣の時に、小沢さんを入閣させずに幹事長にしたのは失敗ですね。確かに、小沢さんの論理に従えば、幹事長職は適材です。でも、これは小沢さんの都合であって、日本の政治全体にとっては、あのような人を党の幹事長にしちゃいけないんですね。ああいう人こそ、入閣させたほうがいいんです。さしずめ、今回の重点要求だって、小沢さんを財務大臣あたりにしておけば、そんなに違和感ないんですよ。でも、政党の役員にすぎない幹事長が言うからおかしくなるんです。
 亀井さんだって、福島瑞穂さんだって、言いたいこと言ってるわけですよ。でも、あそこに権力があるとは誰も思わない。
 政党の中枢を握る幹事長職に小沢さんを起用したもんだから、こんなことになっちゃうんです。
 鳩山さんを含む国会議員先生方は、小沢さんのことをよくご存じなわけですから、こんな事態は予め予想しておくべきなんですね。
 だから、これは鳩山さんの組閣上のミスです。

 でも、今さら、そんなことを言っても仕方ありませんから、権力の二重構造が復活することを防ぐためには、早いうちに小沢さんを総理大臣にすることですね。そのほうが政治のあり方として正常です。国政に対する責任を負うのは内閣であって幹事長ではないですから。
 賛否両論あるとは思いますが、私なら小沢政権の誕生を希望しますね。