1 禁止事業の種類

 外国人事業法は、外国人によって営むことが禁止されている事業について定めています。
 外国人が禁止されている事業は、次の3つの類型に整理されます。

(1)第1種

 特別の理由により外国人が営むことができない事業

(2)第2種

 国家の安全、伝統芸術、天然資源、環境に影響を与える事業

(3)第3種

 外国人との競争力がついていない事業

(1)の例としては、
・新聞、ラジオ放送、テレビ放送事業
・稲作、畑作、園芸
・家畜飼育
・タイ国の領海、排他的経済水域での漁業
・仏像、鉢の製造
・土地の売買
などがあります。

(2)の例としては、
・武器の製造販売
・国内輸送
・タイ国の芸術、工芸品の取引
・タイシルクの製造等
・タイ楽器の製造
などがあります。

(3)の例としては、
・合板、べニア板、チップボード、ハードボードの製造
・石灰の製造
・会計サービス
・法律サービス
・建築設計
・広告業
・観光業
・飲食店
・最低資本金が1億バーツ未満又は1店舗当たりの最低資本金が2000万バーツ未満の全種類の小売業
・その他のサービス業(但し、省令で定める業種を除く)

2 サービス業は、ほとんどできない

 全部書ききれなかったので一部を例示しましたが、第3種の禁止事業の中に多くのサービス業が含まれています。
 タイ政府の基本的な考え方をざっくり言うと、製造業に対しては原則として門戸を開き、サービス業に対しては門戸を閉ざすという方針です。
 タイには、「投資奨励法」という法律があって、外国の製造業に対しては、一定の要件の下にタイ国内で事業を行うことを認めています。
 この姿勢の根底にあるのは、製造業は技術の移転をもたらすのに対して、サービス業はそうではないという考え方です。タイに技術移転をもたらすのであれば、タイにとってはメリットが大きいですよね。

 しかし、タイに行くと分かるのですが、タイ国内には、どう考えたって外資系でしょ、という会社が堂々と禁止事業を営んでします。サービス業に限られません。
 例えば、第1種で新聞等の事業が禁止されていますが、在タイ日本人をターゲットにしたフリーペーパーや新聞がたくさんあります。そこでは、タイで起こった事件が日本語でニュースとして掲載されています。
 また、多くの日本人がバンコクでラーメン屋や寿司屋をやっています。これらは飲食業ですので、第3種の禁止事業に該当します。
 さらに、私と同業である法律事務所も存在します。法律事務所の名称から、どう見ても日本人が経営しているとしか思えません(同じ名称の法律事務所が日本にもあります)。これも第3種の禁止事業です。

 なぜ、このような事態が生じているのかというと、実は抜け道があるのです。その「抜け道」については、またの機会にブログで書こうと思います。楽しみにしていてください。