1.一般医薬品区分と通販・インターネット業者
以前もこのブログで書きましたが、一般医薬品は、第1類から第3類までの3つに分類され、第1類医薬品は、従前どおり薬剤師でなければ取り扱えませんが、登録販売者を置けば、第2類と第3類の医薬品は取る扱うことができます。
多くの風邪薬や解熱剤、胃腸薬などが第2類に該当するため、コンビニ等でも取扱可能となり、いっきに規制緩和となりました。
ところが、通販やインターネット業者の場合は、第3類医薬品しか取り扱うことができず、日頃から私たちが愛用している風邪薬等を販売することができなくなりました。
では、なぜ第3類医薬品については通販・インターネット業者も取扱が許されるのかというと、第3類医薬品に関しは、情報提供義務(要するに、薬に関する説明です)が課されていないからなんです。
これに対し、第2類医薬品については情報提供義務が課されている。だから、事実上、通販・インターネット業者では取り扱えないということになります。
「情報提供なんて書面でもいいではないか」という考え方もありますが、口頭でないとしっかり伝わらないというのが今回の改正法の考え方です。
したがって、ここにいう情報提供は、必然的に「対面販売」に限定されてしまいます。そうすると、第2類医薬品を取り扱う要件は、
登録販売者を置き、かつ、対面販売でなければならない
ということになります。
対面販売に限定されてしまうと、当然、結果的に通販やインターネットでは販売できなくなります。
2.通販・インターネットの医薬品販売をめぐって紛糾
今回の薬事法改正に対して、通販・インターネット業者は激しく抵抗しています。
一般の人たちから通販の継続を求める意見が多数寄せられたそうで、舛添要一厚生労働大臣も、ついに「検討会」と設置。これは、結構異例なことだそうです。
あの楽天の三木谷さんもこの検討会には参加しているそうですが、全国薬害被害者団体連絡協議会や日本チェーンドラッグストア協会は、通販やインターネット業者が第2類医薬品を取り扱うことには以前として反対の様子で、なかなか打開点がみつかりません。
そこで、厚生労働省は、妥協案として、離島居住者など医薬品購入が困難な場所に住んでいる人たちに対する販売や、改正前に購入していた医薬品に限り継続購入可能とする2年間の経過措置を提案。
しかし、通販・インターネット業者は、そのような小手先の妥協案では満足できず、厚生労働省の案でも依然として議論は平行線をたどります。
そして、賛否両論ある中、あの三木谷さんがテレビ出演し、「日本薬剤師連盟が2005年から2007年にかけて14億の政治献金を行っていた実態が明らかとなり、それが医薬品のネット規制にも影響している」と言ってしまった。
この発言で検討会の委員の間に決定的な亀裂が走り、検討会は幕引き。
私は、日本薬剤師連盟の政治献金と今回の改正を結びつけるのは、ちょっと強引かなと思います。そもそも今回の改正は、薬剤師にとってそんなに嬉しい改正だとは思えないからです。
ちなみに、今回の改正は、営業の自由を侵害しており違憲であるとして、国を相手に訴訟提起した通販業者も出てきております。
通販・インターネット業者による医薬品の販売をめぐって、今後どうなるのか目が離せませんね。