1.はじめに
改正薬事法は、一般用医薬品(大衆薬)の3つの区分に分類した上で、第1類医薬品だけは、薬剤師のみ取扱い可能とし、第2類医薬品と第3類医薬品については、薬剤師のほか、登録販売者も取り扱えるものとしました(薬事法第36条の5)。
そして、今回の改正法のインパクトの大きさは、一般用医薬品の9割が第2類医薬品に該当する点です。
そこで、改正薬事法が採用した医薬品区分について少し詳しく見ていきたいと思います。
2.一般用医薬品区分
改正薬事法は、一般用医薬品について3区分を設け、次のように定義しております(同法第36条の3)。
第1類医薬品
・その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうち、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの。
・その製造販売の承認の申請に対して、第14条第8項第1号に該当するとされた医薬品であって、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める機関を経過しないもの。
第2類医薬品
・その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第1類医薬品を除く)であって、厚生労働大臣が指定するもの。
第3類医薬品
・第1類医薬品及び第2類医薬品以外の一般用医薬品
この分類を整理すると、まず副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生じるおそれがないものは、すべて第3類医薬品に入ることになります。簡単に言えば、
安全な薬 = 第3類医薬品
と理解して差し支えないと思います。
では、日常生活に支障を来す程度の健康被害が生じるおそれがある医薬品はすべて第1類又は第2類のいすれかに該当するというわけではありません。
薬事法は、健康被害のおそれがある医薬品のうち、厚生労働大臣が指定したものだけを第2類医薬品としているので、厚生労働大臣の指定がなければ第3類医薬品に入ることになります。
さらに、健康被害のおそれがある医薬品のうち、「特に注意が必要なもの」に限定して、厚生労働大臣が指定したものが、第1類に入ることになります。
登録販売者は、このうち、第2類と第3類については販売・授与することが可能となったわけですから、実は、それなりに健康被害の危険がある医薬品も取り扱えることになるんですね。その意味では、登録販売者にも薬学の専門家としての高度な専門知識と技能が求められると思います。
ちなみに、第1類の中には、健康被害の点で特に注意が必要な医薬品のほかに、第14条第8項第1号に該当する医薬品で、かつ承認を受けてから厚生労働省令で定めた機関を経過しないものも含めています。
これは、要するにまだ医薬品としての効果や副作用等が必ずしも明らかになっているとは言えない新薬等について、慎重な態度を取ったのです。
すなわち、第14条第8項第1号は、
「申請に係る医薬品等が、既に製造販売の承認を与えられている医薬品等と、有効成分、分量、用法、効能、効果等が明らかに異なるとき」
と規定しています。このような医薬品については、何が起こるかわからないから、厚生労働省令が定めた一定の期間様子を見ることにしたわけです。
3.具体例
ここですべてを紹介することはできませんので、いくつか具体例を挙げたいと思います。
例えば、殺虫剤のうち、毒薬又は劇薬に該当するものは第1類医薬品に該当するそうです。
また、同じ殺虫剤でも毒薬・劇薬に該当しないものは第2類医薬品となります。
消毒剤や体外診断用医薬品も第2類医薬品に該当します。
主な風邪薬、解熱鎮痛剤、胃腸鎮痛けいやく等は、第2医薬品に該当するので、私たちが普段から利用しているような医薬品の多くがここに該当することになります。
ちなみに、第3類医薬品の例としては、ビタミンB・C含有保健薬、整腸薬、消化薬等があげられます。