まず、戸籍上、相続人が存在しない等、相続人のあることが明らかでないとき、高齢者の相続財産は法人とみなされます。そして、家庭裁判所は、高齢者に対して債権を有している等利害関係を有している者や検察官の請求によって、相続財産管理人を選任し、遅滞なく、選任公告をします。

 相続財産管理人の選任公告後、2ヶ月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者と受遺者に対し、一定の期間内(実務では2ヶ月間とすることが多いです。)に、相続債権者・受遺者に対して請求の申出をすべき旨を公告し、また、知れている相続債権者や受遺者に対しては、各別に申し出てくるように促さなければなりません。なお、公告及び促したにもかかわらず、相続財産管理人が知ることができなかった者で期間内に請求の申出をしなかった相続債権者や受遺者は、他の債権者や受遺者へ弁済後の残余財産からしか弁済を受けられなくなるので注意が必要です。

 請求申出の公告期間満了後、なおも相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産管理人に申出によって、6ヶ月以上の催告期間を定めて、相続人捜索の公告手続を行います。この相続人捜索の公告期間内に相続権を主張する者がいなければ、相続人の不存在が確定し、相続人並びに相続財産管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができなくなります。

 そして、相続人捜索の公告による催告期間満了後3ヶ月以内に、被相続人と特別の縁故があった者は、家庭裁判所に対し、相続財産の全部または一部の分与を求める申立てができます。家庭裁判所は特別縁故者に対し、相続財産を分与するかにつき審判を下します。

 特別縁故者による申立てがなかった場合、または特別縁故者に対して財産を分与した後、なおも財産が残っている場合には、最終的に、相続財産は国庫に引き継がれます。