「優越的地位の濫用」という言葉をご存知でしょうか。

 「優越的地位の濫用」とは、自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が、取引の相手方に対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のことです。これは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(一般的に「独占禁止法」と呼ばれています。)にて、「不公正な取引方法」の一つとして定められ、禁止されています。

 会社にはそれぞれ「大口の取引先」があるものですが、特に中小企業においては、大企業との取引を打ち切られると事業が成り立たなくなることもあります。そのため、中小企業は取引先である大企業から無茶な要求をされても、これを承諾せざるを得ず、企業間で不公正な取引が行われる場合があります。このような状況を防止し、企業間の公正な競争を確保するため、「優越的地位の濫用」を禁止する規定が設けられています。これに違反すると、行政から排除措置命令や課徴金の支払命令が出される可能性があります。