高齢者施設の事業者としては、生活相談などを受けるなかで、入居者の方々が抱えている様々な問題や悩みを共有することがあると思われます。生活相談の中には、事業者として提供できるサービスの中で解決できる問題もあると思われますが、中には相続や消費者被害など法律問題などを含む悩みもあり、解決に窮することもあるのではないでしょうか。

 そこで、高齢者が巻き込まれやすいトラブルや相談事例をもとに、それらに関する法的な救済方法や解決法をご紹介していこうと思います。

 高齢者の方が巻き込まれやすいトラブルの一種として、いわゆる消費者被害と呼ばれるものが挙げられます。最近では、電気のブレーカーに貼ると電気代が安くなるシールを数万円で販売するといった事例もニュースとなっていました。

 このような事例のターゲットとして高齢者が狙われやすい理由は、身寄りのない高齢者の方の場合、話を聞いてもらいやすく、親交を深めて購入を勧めやすいといった点のほか、判断能力が衰えており、販売者のセールストークに応じてしまいやすいといった点などが挙げられるでしょう。

 これらの消費者被害については、特定商取引法という法律が一定の規制をしています。特定商取引法は、商材ではなく、主として販売方法に応じて規制を定めていますので、どのような経緯によって、購入することになったのかという点が重要です。たとえば、電話での勧誘により始まった取引やインターネット上の広告を見て購入したといった「通信販売」や、営業マンが訪問をしてきたうえで販売に至ったものや街中で声をかけられてキャッチセールスを受けた「訪問販売」などが典型例です。規制の対象となっている販売方法であれば、クーリングオフ(契約の解除)を行って、購入代金を取り返せるかもしれませんし、クーリングオフの通知を行えば、今後の購入を勧めてくることも減少する傾向にあります。

 このような相談は、規制対象であることさえ発覚して、専門家である弁護士等へ対応を依頼すれば、比較的対処が容易です。しかしながら、ご本人としては被害とは認識しておらず具体的な相談に至らない場合や、一つ一つの金額はそれほど大きくないために気にかけていない場合などもあります。

 高齢者の方の生活を見守る中で、管理者や生活相談員としては、入居者の財産管理等にも関心を持っていただいていると思われますが、想像以上に財産の減少が早い場合など、消費者被害に巻き込まれている可能性があり、その原因を確認していただくべき場合もあると考えられます。当然、相談されたとしても、法的な対応まで応じるわけにはいきませんが、外部の専門家を活用することで、入居者の生活を守ることができると思われます。