はじめに
誰もが自分がいなくなった後、残された人たちが仲良く幸せに生活することを望むものですが、そのような意思に反するかのように、近年、遺産分割事件の件数は年々増えています。
家庭裁判所に申し立てられる遺産分割事件の件数は、平成12年には約8900件でしたが、平成25年には1万2000件以上になっています。
また、このうち審理期間が1年を超えるものは4000件近くもあり、相続人間の争いは長期化、泥沼化するものが多くあります(司法統計)。
相続によるトラブルを防ぐためには、生前に対策をしておくことが重要になります。
生前対策のうち、有効かつよく知られているものとして遺言を作成しておくという手段が挙げられます。
ところが、遺言はかえってトラブルを招く場合もありますので、書き方に注意が必要です。
そこで、トラブルを生じさせない遺言の書き方をいくつか紹介します。
① 遺留分を考慮した分配をすること
複数人いる子供のうち、家を継がせる子には財産を相続させるが、それ以外の子にはほとんど財産を相続させないといった内容の遺言をよく見かけます。
しかし、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には、相続開始とともに相続財産の一定割合を取得しうるという権利(遺留分)が認められます(民法1028条)。
これにより、財産を相続人の一人にすべて相続させる旨の遺言を残していても、他の相続人は、相続財産のうち自分の取り分(遺留分)の支払いを請求することができ(これを遺留分減殺請求といいます。)、相続争いに発展してしまうこ