親の介護により、相続財産の維持増加に特別の寄与をした場合には、寄与分(民法904条の2の1項)として、遺産分割において考慮されます。

 しかしながら、民法上、親子には扶養義務(877条1項)が定められており、通常の介護は、通常行うと期待される程度を超える特別の寄与行為が必要となる上、介護の対価を受けていないことが原則となります。したがって、被相続人から生活費をもらっていたり、無償で被相続人所有の家に住んでいる場合は、寄与分が認められない場合があります。

 さらに、寄与分について相続人間で合意ができない場合は、裁判所に寄与分を定める調停・審判を申立てなければなりません。

 このように、寄与分については複雑な点が多く、相続人の一人が身を削って親の介護をしたとしても、相続人間で円満に解決できずに争いになるか、または「親の介護をしたのだから多く遺産が欲しい」と言い出せずに諦めてしまい報われていないのが実情です。

 介護してくれた方が報われるためにも、また相続人間で争いにならないためにも、被相続人の方が、遺言書を残しておくのが重要です。

 お世話になった人のために「遺言書」を書いておけば、介護をしていた側も苦労が分かってもらえたと精神的にも報われます。

 遺言書が必要かなと思った人は、すぐに弁護士にご相談いただけたらと思います。