こんにちは。今年も残すところあと数日ですね。早いものです。

 今年1年間に担当した家事事件を振り返ってみると、やはり、私の場合は、子どもの親権または監護権に関する争いが多かったです。そして、事案の質的に目立ったのが、父親からの依頼でした。

 多くの場合、母親のほうが親権又は監護権(以下、2つをまとめて「親権等」といいます。)をとりやすいと考えられていることは、このブログでも何度か触れていると思います。なぜ母親の方が有利なのかというと、多くの場合、女性は子どもを産むと、産休、育休をとって育児に専念し、時短で働いて育児にかける時間を確保し、単純にいえば、子どもと接する機会が多いからです。近年増えてきたイクメンですが、まだまだ育休まで取得する人は少数派です。また、男性はどう頑張っても母乳育児をすることはできないことからもわかるように、どうしても男性が超えられない壁もあります。

 相談に来られる男性の中には、「自分は外で働いて稼いでいるのだから子どもを養っているのは自分だ。働いていない妻に子どもを一人で育てることはできない。親としてふさわしいのは、自分だ。」という自負がある方もいらっしゃいます。そして、妻に家庭のことをすべてまかせた上で、妻が自宅を掃除しないとか、育児が不完全であることをもって、妻は親として不適格と考え、妻が不適格なのだから自分(夫)が親権等をとれるはず、と考えていたりします。

 しかし、このような考え方は、裁判所では通用しません。仮に妻は家庭、夫は外で働くという分担をしていても、夫は外で働くという役割のみを果たせば十分というわけではなく、妻が足りないところは夫が補わなければならないのです。妻が親として不十分だから、じゃあ夫に親権等を認めよう、という単純な話ではないのです。

 親権等をとりたいお父さんたちに言いたいのは、妻に家事育児を任せきりにして妻に不足している点をあげつらって妻を非難するのではなく、妻に不足している点があれば、積極的に夫がそこを補い、「自分こそが親として適格」という状況を作り出さなければならないということです。妻に不足している点があれば、それをチャンスと捉え、自分で積極的に動いてください。そして、親として積極的に活動してきたという実績を作り、しかもそれを証拠に残しておいてください。日記でも何でもいいです。保育園や幼稚園の日々の連絡帳への記録なんかも積極的に書いてください。

 一番重要なのは、「子どもにとって父親のほうがつながりが強い」という外観を作ってしまうことです。

 親権等については、女性の方がスタートから有利なので、男性が親権等をとりたいなら、最初から危機感をもって用意周到に準備しなければなりません。外で働いた上に自宅で積極的に家事育児もするなんて、相当大変なこととは思いますが、待っているだけでは男性の所に親権等はやって来ません。積極的に動いた夫と家事育児の手を抜いていた妻の間でも、夫が親権等の争いで負けることもあるくらいです。がんばってください!