離婚をする夫婦に子どもがいる場合、非親権者は、面会交流を求めることが多いと思います。
 では、もし、離婚調停で面会交流をさせるという約束をしたにもかかわらず、親権者が面会交流を実行しない場合、非親権者は、面会交流を実現するために何らかの方法を取ることができるのでしょうか。

 面会交流を実現するための手段として、「履行勧告」という手段があります。

 履行勧告とは、調停で面会交流をするという約束をしたにもかかわらず、面会交流が実現されない場合に、家庭裁判所が親権者に対して面会交流が行われるよう促すという手段です。これは、難しい手続きは必要でなく、調停を行った家庭裁判所に対して、履行の勧告をするよう申し出るだけで足ります。申し出の方法も書面でも口頭でも電話でも大丈夫です。しかも、費用もかかりません。

 このような簡単な手段なので、強制力はないのですが、裁判所から連絡があるだけでも相手にとって脅威となるかもしれないので、面会交流が実現されない場合、まずは履行勧告の申し出をしてみるのもいいかと思います。

 次に、面会交流を実現するための手段として、強制執行のうち「間接強制」という方法があります。

 間接強制とは、親権者に対して、調停条項で定められた面会交流を一定の時期までに履行することを命じ、その命令に従わなかった場合には、1回当たり〇万円支払えという内容の金銭の支払いを命じる強制執行の方法です。このような命令を課すことにより、親権者が義務を履行するよう心理的な強制を与え、面会交流の実現を図ります。

 親権者が面会交流を拒んでいた場合には、将来的に間接強制を実行することを想定した調停条項にする必要があるでしょう。間接強制は、上記のとおり強制執行の1つですから、履行すべき義務が特定されていなければなりません。よく調停で面会交流の具体的な日時、場所、方法は当事者間で協議により決めるという内容の調停条項をまとめることがありますが、これでは義務の内容が不特定であるため間接強制はできません。

 間接強制を実行できるようにするためには、面会交流の日時、場所、方法を具体的に定めるようにしましょう。

弁護士 竹若暢彦