3 具体的な分与額の計算方法

 では、退職金支給の蓋然性が認められる場合、具体的な分与額はどのように算定されるのでしょうか。

 様々な計算式が存在するのですが、実務上よく見られるのは、
退職金額×(同居期間÷労働期間)×分与割合
というものです。

 なお、分与割合は2分の1とされることが多いと思いますが、特別な事情がある場合には、2分の1以下になることもあります。

4 支払時期について

 清算的財産分与の対象として退職金を支払う場合には、離婚時の一括払いとする方法が一般的ですが、退職時の支払を命じた裁判例も存在します(東京高決平成10年3月13日など)。

 離婚時を支払時期とする場合には、①離婚時に自己都合退職したと仮定した金額を基礎として算定する方法②定年退職時の退職金から中間利息を控除した金額を基礎として算定する方法などがあります。