こんにちは、弁護士の今西です。今回は、いわゆる連れ去り別居について思うところをお話したいと思います。法律論以外に私見が入ることはご容赦ください。

 妻が自宅に居ることができない事情があって子供を連れて別居がされることがあります。夫のDVが絡む事案が最たる例でしょう。本当にDVがあれば当然だと思います。しかし、でっち上げのDVが多いのも事実です。どちらか一方が先に手を出しておいて、突発的、反射的に受けた暴力を捉えて、DVだと主張されることもよくあります。酷い事案では、配偶者暴力等に関する保護命令の申立てまでされます。申立書の内容を見るとおよそあり得ない暴力や子供への虐待の主張が展開されます。とはいうものの、暴力があれば、裁判所が容易に保護命令を出しているのも事実です。暴力が突発的、反射的なものに過ぎず、再度の暴力等の可能性がないことが認められれば、申立てが却下されることはありますが、裁判所が申立人から事情を聞いた後、通常、1週間程度で相手方の審尋が行われ即日保護命令が出されてしまいますので、準備する期間が極めて短く、十分な主張の準備をするのも容易ではありません。そして、保護命令では、配偶者だけでなく子供への接近も6ヶ月間禁止されることが多く、そうなると、その期間、面会交流もできず、連れ去った親が独占的に子供を監護することになり、監護状況が安定していることを理由に連れ去った側が親権者に指定される可能性が高くなります。母親が連れ去ったのであれば母性優先から尚更です。
 こんなことはあってはならないのですが、親権を獲得する目的で入念に準備されたうえで保護命令の申立てがされているとしか思えない事案に遭遇することがありますので、注意してください。

 一方の不貞を理由に子供を連れて別居がされることや性格の不一致としか思えない事情しかないのに子供を連れて別居がされることもあります。いろいろ事情はあるとは思いますが、親権を獲得する目的としか考えられない事案がほとんどです。夫婦の問題は、夫婦で解決すべきで、子供を親と引き離すようなことを平気でするのはどうかと思います。連れ去った母親が面会交流を積極的に認めるのであればまだよいのですが、このような場合、面会交流にも抵抗されることが多いのが実情です。裁判所に期待しても、裁判所は「無理やり面会交流をさせても実効的で継続的な面会交流が期待できない。現在監護している親の都合もある。」等といって、面会交流を審判で決めることには難色を示します。連れ去られた親としては、「じゃあ、こちらで監護させてくれたら、月に2回でも3回でも、宿泊でも認めて積極的に会わせる。面会交流させない親は親として不適格だ。」などというのですが、裁判所は「まぁまぁ、相手も譲歩しているんだし・・・」などといってきます。だからといって、子供を奪い返すと裁判所は不利益に扱ってくるので、奪い返すこともできません。そうこうしているうちに、監護の実績が積まれるので本当に腹立たしいところです。

 とはいうものの、子供の親権に関しては、連れ去る前の監護状況も重視されており、通常、母親が予防接種や幼稚園、保育園との連絡帳のやり取り、身の回りの世話を行っており、そもそも父親は立場が弱いのも事実です。いろいろ、連れ去りについて書きましたが、単に連れ去りを防止したからといって、父親が親権を獲得できるという単純なものではないことは覚えておいてください。