ある事件についていずれの裁判所が裁判権を行使できるのかに関する定めを管轄といいます。家事事件については、事件の類型によって、どの裁判所の管轄に属するかが定められています。
1.家事調停事件
家事調停事件については、「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する」と規定されています(家事事件手続法245条1項)。
2.家事審判事件
家事審判事件については、事件類型ごとに、管轄が定められています。様々な事件類型がありますので、詳細は割愛しますが、たとえば、婚姻等に関する審判事件についての管轄は、家事事件手続法150条に定めがあり、
①夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 | 夫または妻の住所地 |
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②夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件 | 夫又は妻の住所地 |
③婚姻費用の分担に関する処分の審判事件 | 夫又は妻の住所地 |
④子の監護に関する処分の審判事件 | 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 |
⑤財産の分与に関する処分の審判事件 | 夫又は妻であった者の住所地 |
⑥離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 | 所有者の住所地 |
と規定されています。
3.人事訴訟事件
人事に関する訴えは、「当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する」と規定されています(人事訴訟法4条1項)。
したがって、たとえば、離婚訴訟を提起する場合には、夫または妻が普通裁判籍を有する地の家庭裁判所の管轄に属することになります。