1.婚姻時の戸籍編纂

 日本は、日本国民全員を登録する戸籍制度を整備しており、国籍の証明、民事上の成年「20歳」といった各種の年齢の証明、法律上の婚姻関係や親子関係の証明などに用いられます。戸籍は、原則として、

「市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する」(戸籍法6条)

とされ、婚姻届の提出があったときは、選択された氏を称する者が戸籍筆頭者である場合を除き、夫婦について新戸籍が編製されることとなります(戸籍法16条1項)。

 このように、戸籍法は「氏」を重要視しており、同一の戸籍に在籍できるのは夫婦と氏を同じくする子となっております。

2.離婚する場合の「氏」

 離婚をする場合、夫婦のうち婚姻によって氏を改めた者は、離婚により婚姻前の氏へと戻ることが原則です(民法767条1項)。この場合、氏が戻る者については新戸籍の編製または婚姻前の戸籍への入籍を行うこととなります。

 しかし、婚姻時に氏を改めた者が、婚姻中の氏を続けて称することができなくなると社会生活上不利益が生ずることもあるため、昭和51年に民法が改正され、離婚の日から3か月以内に届出を行うことで、離婚後も引き続き婚姻中の氏を称することができるようになりました(民法767条2項)。これを「婚氏続称」といいます。この場合、婚氏続称をする者について新戸籍が編製されることとなります。

3.子の「氏」

 子の氏は、子の出生時に決まり、父母が婚姻中に共同で称していた氏とされます(民法790条1項)。そのため、たとえば夫の氏を称した夫婦が離婚した場合、母親が復氏した場合はもちろん、婚氏続称を選択した場合であっても、法律上は子と母の氏は異なるものと扱われてしまいます。この場合、仮に母親が親権者となっている場合であっても、両親の離婚により子の氏および戸籍が変動することにはなりませんので、子は従前の戸籍に残ったままとなります。

 そのため、この場合に母親が自己の戸籍に子も入籍させるには、家庭裁判所に対し子の氏を変更について許可の審判を申立て、その許可を得た後に、市区町村長に対して所定の届出を行う必要があります。

4.夫婦別姓に向けた動き

 現在、婚姻により当事者の一方が氏を変更することとなることについては、問題意識が投げかけられており、戸籍上は氏を変更することとしても、社会生活上は婚姻前の氏を称する人も増えています。そういった中、夫婦別姓を認めないことの違憲性が争われている裁判について、最高裁判所大法廷は平成27年12月16日に判決を言い渡す予定です。判決内容によっては、夫婦別姓に向けて動きが進む可能性があり、注目を集めています。