家事事件については、調停・審判・訴訟などの手続がありますが、事件の類型によって、どのような手続をとるべきかが定められています。以下、事件類型ごとに場合分けして説明していきたいと思います。
1 家事事件手続法別表第一事件
家事事件手続法別表第一には、当事者の合意による解決になじまない事項についての事件が列挙されています。
別表第一事件については、家事審判手続により審理され、家事調停手続や訴訟手続の対象とはならないとされています(家事事件手続法244条参照)。
2 家事事件手続法別表第二事件
家事事件手続法別表第二には、当事者の合意による解決になじむ事項についての事件が列挙されています。
別表第二事件については、家事審判手続、家事調停手続、どちらの利用も可能であり、申立てを行う人が任意に選択できます。
ただし、家事審判事件を申し立てた場合、家庭裁判所の職権で、家事調停に付されることが多いものと思われます(付調停。家事事件手続法274条)
家事調停手続が不成立となり、終了した場合は、家事調停の申立ての時に、家事審判の申立てがあったものとみなされ、当然に家事審判手続に移行します(家事事件手続法272条4項)。
なお、家事調停が成立しない場合、調停に代わる審判(家事事件手続法284条)を行うことも可能ですが、実務上、あまり多くないように思います。
3 人事に関する訴訟事件
人事訴訟法2条各号には、離婚の訴え、認知の訴えなど、人事訴訟の対象となる事件が列挙されています。
人事に関する訴訟事件については、「調停前置主義」がとられており、まず、家事調停の申立てを行う必要があります(家事事件手続法257条1項)。
人事に関する訴訟事件のうち、離婚・離縁事件については、調停手続で当事者が合意すれば、調停を成立させることができます。離婚・離縁事件については、家事調停が成立しない場合、別表第二事件と同様に、調停に代わる審判をすることもできますが、審判離婚・審判離縁というのは、実務上、ほとんどありません。
これに対して、離婚・離縁以外の事件については、調停手続において当事者が合意していたとしても、調停を成立させることはできず、一定の要件を充足する場合に、「合意に相当する審判」が行われることになります(家事事件手続法277条)。
人事に関する訴訟事件については、家事調停手続が不成立となり、終了した場合には、当事者からの訴訟提起によって、人事訴訟手続が開始することになります。
4 その他の家庭に関する事件
これらの事件については、家事調停手続の対象となります。調停が不成立となり、終了した場合には、当事者からの訴訟提起によって、民事訴訟手続が開始することになります。