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お姑さんがお子さんのアレルゲンを知った上で、お子さんにえびを食べさせて病気にかからせたら、刑事上の責任として、過失傷害罪にあたる可能性があります。
また、民事上の責任として、不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性もあります。

傷害の「故意」はないが、「過失」はある

 お子さんが海老のアレルギー反応を起こして病気になった場合、「生理的機能に障害を加えた」といえますので、「傷害罪」における「傷害」があったことになります。

 ただ、お姑さんとしては、「慣れればアレルギーは治る」と良かれと思ってえびを食べさせたのであって、あえてお子さんを病気にかからせようとしてえびを食べさせたわけではないと思います。
 そうすると、「傷害を加えよう」とか「傷害を負っても構わない。」とは思っていないことになりますから、傷害の「故意」はないということになりそうです。

 しかしながら、お姑さんは「アレルギーがあることは知っているし、病気になるかもしれない。」という考えはありそうですよね。
 でも、できれば、お姑さんには、お子さんの病気は回避することを期待してもよいですし、回避することもできます。このように、傷害の結果が生じる可能性を予測して、その結果を回避することもできたのに、人の身体を害する危険のあることをしてしまった場合、「過失」はあることになります。

「過失傷害罪」「不法行為」に該当する可能性がある

 したがって、お姑さんは、傷害の故意のある「傷害罪」(204条)には当たらなくとも、「過失傷害罪」(刑法209条1項)には該当する可能性があります。なお、過失傷害罪は、「親告罪」といって、告訴がなければ起訴されません(民法209条2項)。
 また、過失により病気にかからせたことについては、民事上の「不法行為」(民法709条)となる可能性もあります。不法行為に基づいて、生じた損害について金銭で賠償するという責任が生じます。この場合に生じる損害は、入通院治療費、交通費、傷害慰謝料などが考えられます。
 もしもお子さんがえびアレルギーで病気になって治療を受けたのであれば、このようなものを請求できることになります。

 アレルギーは、時として重大な病気を引き起こす場合もあります。「大丈夫だと思った。」という言い訳では済まないこともありますので、アレルギーの情報があったらきちんと対応しましょう。