こんにちは。早いものでもう10月。夜は冷え込む日も多くなってきましたね。
 さて、本日は、一般的な訴訟手続きのお話しです。

 訴訟手続きは、やったことのある人ならわかると思いますが、

 訴訟提起 → 口頭弁論 → 弁論準備 → 口頭弁論(尋問)→ 判決

 という流れが一般的です。

 ところがこの前、珍しく、「初回期日から弁論準備手続にします。よろしいですか。」という電話が裁判所から来ました。

 さて、「口頭弁論」というのはわりと一般の方でも耳にしたことがあるのではないかと思いますが、「弁論準備」というのはあまり聞いたことがないかもしれません。見た目の大きな違いは、「口頭弁論」が公開の法廷であるのに対し、「弁論準備手続」は非公開で行うことができるというところです。その他にも、弁論準備手続においては、遠隔地に当事者がいる場合などに電話会議という方法を採ることができるなど、比較的柔軟な手続きとなっています。

 さきほどお話しした「初回期日(訴訟手続きにおいて裁判所で行う最初の日の手続きのこと)」についていえば、口頭弁論の初回期日によくあるパターンは、欠席し、答弁書擬制陳述、という流れです。民事訴訟法において、被告は、初回期日は、答弁書を出しておけば、欠席しても答弁書を陳述した取扱いにしてもらえる(「擬制陳述」といいます。)、ということになっているからです。

 しかしながらこのパターンで行くと、初回は、欠席、具体的には「追って認否します。」という感じになることが多く、その1回分の期日が実質的に中身のないものになることもしばしばあります。たしかに初回期日は被告の都合をきかずに指定されるので、他の用事があるので欠席、具体的な主張が間に合わないということが起きても仕方ないとも考えられます。

 しかしながら、できれば初回から実質的なやりとりをしたいのが当事者も裁判所も望むところです。そんな中、先ほど述べたような「初回から弁論準備手続にする」という取扱いは、この望みに応じるものなのです。

 弁論準備手続にするか否かは、当事者の意見を聴いて裁判官が判断することになっています。裁判官が判断する明確な基準はわかりませんが、双方当事者に弁護士が付いていれば、初回から実質的な内容に入っても耐えられるので、裁判所も最初から弁論準備手続にしてもよいと考えるのではないかと思います。あとは事案の内容も関係するかもしれません。

 また、裁判所としても、口頭弁論の手続を行える曜日の割り振りがあったりするみたいなので、弁論準備手続にしてしまったほうが、そのような制約もなくなるというメリットがあるようです。

 初回から弁論準備手続というのは、被告側としては準備が忙しくなるので大変かもしれませんが、原告側であれば、ちょっとうれしいかもしれません。