こんにちは。今回は、セクシャルハラスメント(いわゆる「セクハラ」)についてお話したいと思います。

 会社で問題となるセクハラとは、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることをいいます(男女雇用機会均等法11条1項)。

 セクハラは、対価型と環境型に分けられます。対価型とは、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、その労働者が解雇等の不利益を受けることを言います。例えば、上司が女性労働者に対して関係を迫ったものの、女性労働者から拒絶されたため、その女性労働者を降格することが挙げられます。環境型とは、労働者の意に反する性的な言動により、その労働者の労働環境が害されることを言います。例えば、女性労働者の身体に抱き付くことが挙げられます。

 事業主は、雇用契約上、従業員に対し、労務の提供に関して良好な職場環境の維持確保に配慮すべき義務を負い、職場においてセクシャルハラスメントなど従業員の職場環境を侵害する事件が発生した場合、誠実かつ適切な事後措置をとり、その事案にかかる事実関係を迅速かつ正確に調査すること及び事案に誠実かつ適正に対処する義務を負っているというべきとされています(仙台地裁平成13年3月26日)。また、男女雇用機会均等法11条1項は、事業主に対し、セクハラを訴える労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じる義務を課しており、措置義務の具体的な内容については、厚生労働省の指針(「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」)に9項目が定められています。

 セクハラが違法とされた場合、会社は、使用者責任(民法715条)や、法人の不法行為責任(一般法人法78条)を問われかねません。

 したがって、会社としては、日頃から、セクハラ対策をきちんと採っておくことが重要です。
 次回は、セクハラへの具体的な対策や判例を紹介したいと思います。