今回は、いわゆるサービサーの行う債権回収についてお話したいと思います。
 サービサーとは、不良債権の迅速な処理の促進を目的として、「債権管理回収業に関する特別措置法(以下「サービサー法」といいます。)」に基づき、法務大臣から許可を得て設立された民間の債権管理回収専門の株式会社をいいます。

 日本では、弁護士法の規制により、弁護士又は弁護士法人以外の者が債権者から委託を受けて、取り立ての為の請求、弁済の受領等の行為を業として行うことが禁止されています。弁護士又は弁護士法人以外の者が行えば、非弁行為として刑事責任を負う可能性もあります。
 しかし、バブル経済の崩壊後、金融機関が膨大な不良債権を抱え込む事態となり、これを処理することが経済再生の為の重要な課題となりました。
 そこで、法務大臣による許可制によって債権管理回収業を民間業者に解禁することとなりましたが、これまで債権回収の分野に暴力団等反社会的勢力が参入し、違法・不公正な権利要求がなされることが多かった実態にかんがみ、業務の適正を確保するため、許可の要件、行為規制、管理体制は厳格に定められました。

 上記のような経緯から、サービサーの取り扱える対象債権は、「特定金銭債権」と定義される以下のような一定範囲の債権に限定されています。

① 銀行等の金融機関・貸金業者が有する(有していた)貸付債権等
② リース・クレジット債権等
③ 特定目的会社(SPC)が流動化対象資産として有する金銭債権等
④ 法的整理手続中の者が有する金銭債権等
⑤ 保証会社(特定金銭債権に係る債務の保証を行うもの)・金融機関等が有する求償債権等
⑥ いわゆるファクタリング業者がその業務として買い取った金銭債権
⑦ その他、政令で定める金銭債権

 したがって、サービサーが上記特定金銭債権に該当しない債権について債権管理回収業を行うことはできないといえます。

 しかしながら、未払賃料、未払診療報酬等の非特定金銭債権について、サービサーが関与することがあり、県や市町村等の地方公共団体が未払賃料、未払診療報酬等に関連して、サービサーと委託契約を締結していることも多くあります。

 サービサーは上記のような非特定金銭債権について、どのような業務ができるのか、次回は、サービサーが法務大臣の承認を受け行う兼業の業務と債権回収との関係についてお話したいと思います。