株式会社の場合の保管期間は10年間

 さらに、株式会社は、会計帳簿及びその事業に関する重要な書類を10年間保存しなければなりません(会社法432条2項)。不動産の仲介会社や管理会社にとって仲介物件の賃貸借契約書は重要な書類にあたると考えられます。

 会社法上、会計帳簿及びその事業に関する重要な書類は、閲覧・謄写請求の対象となり(会社法433条)、さらには、裁判所の文書提出命令の対象となり(会社法434条)、また、虚偽の事実を記載したような場合には過料の制裁が科されます(会社法976条7号)。

 そのため、仲介物件の賃貸借契約書は、会社法上の事業に関する重要な書類として10年間保管しておく必要があると思います。

保管期間は5年間と10年間、どちらにするべきか

 では、賃貸借契約書の保管期間は、5年と10年のどちらなのでしょうか。宅建法は、会社法の特別法ではないので、不動産の仲介会社や管理会社にも会社法の適用はあります。とすると、賃貸借契約書の保管期間は10年と考えるべきでしょう。

弁護士 竹若暢彦