ところで、解除権の行使について民法544条1項は、当事者の一方が複数人となる場合、契約の解除は全員からまたは全員に対してのみすることができるとし、解除権の不可分性を規定しています。
 共有物の賃貸借契約解除を管理行為と解するなら、民法252条本文に基づき持分価格の過半数の同意で契約解除ができるはずですが、他方で、解除権の不可分性を規定した民法544条1項との関係が問題となります。
 この点について、先述の昭和39年判例は、共有物の賃貸借契約解除は管理行為であり、この場合に民法544条1項の適用は排除される、と判示しています。従って、共有物についての賃貸借契約を解除する場合には、共有者の全員ではなく、共有者の持分価格の過半数の同意を得て行うこととなりそうです。