企業再建7

 弁護士 佐久間明彦

第1 はじめに

前回は、会社更生法に基づいて企業を再建する場合、どのような機関が設置され、それらが主にどういった役割を果たしていくのか等について説明しました。

今回は、会社更生手続開始の申立に基づいて、裁判所が開始決定の判断を下すと、法的にはいかなる効果が生じるか等に関し、説明を加えていこうと思います。これらの効果について、法律の専門的知識はなくとも、ある程度、重要部分は押さえておかないと、会社更生法を適用させた再建を図るか否かの局面において、判断を誤ることになりかねません。

それでは、以下に他の手続との違いにも着目しながら、お話ししていきます。

 

第2 開始決定の効果

1 更生会社に対する効果

まず、更生会社が開始決定後に、会社財産に関し、何らかの法律行為(売買契約等)をしても、原則として、その効力を主張できません(会社更生法47条1項)。開始決定と同時に、更生会社の事業経営権、財産の管理・処分権は、管財人に専属することになるからです(同法72条1項)。

また、更生債権者等が更生手続開始後に管財人又は更生会社の行為によらずして、会社に対する権利を取得しても、その効力を主張できません(同法55条1項)。

他方、更生会社に対して債務を負っている者がなした弁済等は、その者が更生手続開始の事実を知らなかったときのみ、弁済等の効力を主張できるとされています(同法57条1項)。

最低限の取引の安全は図られているわけです。

2 双務契約に対する効果

双方未履行の双務契約の場合、管財人が契約の解除又は履行請求を選択できますが(同法61条1項)、いずれを選択するかの催告に対して、管財人が確かな回答をしない場合、解除権は放棄されたとみなされます(同条2項)。企業の維持・更生を目的とした手続だからです。この点は、再生手続も同様ですが(民事再生法49条2項)、破産手続とは異なります(破産法53条2項)。

そして、ガス・電気等を継続的に給付する会社と更生会社との間の双務契約については、ガス・電力会社等は、更生手続開始申立前の給付に関する支払がないことを理由に、手続開始後の給付を拒めないことになっています(会社更生法62条1項)。こうしないと、開始決定前の未払が少しでもあると、開始決定後に会社を更生させていくのに不可欠なガス・電気・水等の供給が断絶されることとなり、目的達成は不可能とな