弁護士 金 崎 浩 之

1 母子家庭の入居リスク
 母子家庭のいわゆる”シングル・マザー”に居住物件を賃貸する場合のリスクって何でしょうか?

 やっぱり家賃滞納リスクですよね。

 女性の社会進出が著しい現代社会においても、育児や家事は女性の仕事という観念はまだまだ根強いと思います。
 また、子育てと仕事の両立は大変ですから、シングル・マザーの経済的状況が芳しくないことも問題です。
 賃貸する側としても、パートタイムで収入の少ないシングル・マザーへの賃貸にはどうしても躊躇してしまいますよね。

 しかし、こんなニーズに対しても定期借家契約を上手く活用すれば、ビジネス・チャンスが見えてきます。

2 シングル・マザー応援団
 愛知県半田市に、「シングル・マザー応援団」というユニークな取組を開始した企業があります。

 この会社では、母子家庭を対象に、3ヶ月から6ヶ月の定期借家契約を結んで住居を提供するとともに、人材派遣や就職の斡旋までしているそうです。まさに、至れり尽くせりですね。
 不動産賃貸業というよりは、その名の通り、シングルマザーを支援するためのスキームの中に賃貸が組み込まれているといった感じです。保証人も不要だそうです。

 このビジネス・モデルの具体的なスキームは、シングルマザー応援だが対象物件を賃借し、シングル・マザーと定期借家契約を結んでサブリースするという内容です(全国賃貸住宅新聞2010年3月8日号)。
 そして、入居者が就職先を確保して生活の基盤が整ったら、普通の賃貸借契約に移行することもあるそうです。
 つまり、シングルマザーを応援するが、リスクもあるため、暫定的措置として定期借家契約を活用していることになります。

 離婚率が高い今日、このような顧客のニーズもニッチな市場として魅力があるかもしれません。