1 概略

 タイの工業団地は、タイ国工業団地法に基づいて設置されたタイ国工業団地公社(Industrial Estate Authority of Thailand)が管理・運営しています。IEATは、タイの工業省所轄の国営企業です。

 IEATが管理・運営している工業団地には、一般工業区と自由事業区があります。
 自由事業区は、かつて輸出加工区と呼ばれ、輸出産業を奨励する目的の工業団地でした。したがって、入居できるのは輸出業者に限られ、発足当初は100%の輸出義務まで課されていたんです。
 ところが、2007年12月の法改正で現在のように自由事業区と名称が改められ、対象業種も輸出業者のみならず、商業全般、さらにはサービス業にまで拡大されています。

 IEATでは、以前このブログで書いたBOIとは異なり、投資を特に奨励している対象事業というのがありません。
 基本的に、タイの産業発展に役立つと判断されれば、許可が得られることになっています。

2 IEATの特典

 では、IEATに入居すると、どのような特典、メリットがあるのでしょうか。
 第1に、タイでは、外国人及び外資系企業による土地所有が厳しく制限されているのですが、工業団地に入居すると、外国人出資比率49%を超え、外国人株主の人数が全ての株主の過半数であっても、タイ国内の土地を所有することができます。
 第2に、BOIの場合と同様、日本人を勤務させる場合、労働許可の取得手続きが簡素化され、労働許可を取りやすくなっています(労働許可の取得方法の詳細は、また別の機会にこのブログで取り上げる予定です)。
 第3に、自由事業区に対しては、機械・原材料の輸入時にかけられる関税等が免除されます。そもそも発足の経緯が保税区ですからね。
 第4に、タイ国内で建築許可、工場設立許可、都市計画法に基づく許認可を得ようとする場合、いちいち所轄の官庁で許可申請をする必要がなく、工業団地内にあるIEAT事務所又はIIEAT本部で申請することができます。許認可申請手続がしやすいように配慮されているわけです。

 なお、この手の法律は改正や運用の変更がよくなされる分野でもあるので、入居を検討する際は、その時に改めて調査をする必要があります。