以前、大変、興味深い下着ドロボーの刑事弁護をやりました。
どんな事件かというと、住居に侵入して女性の下着を盗もうとしたところ、その時家にいた家族の人に発見されてお縄となってしまったので、盗み自体は未遂で終わったのですが、法外な慰謝料を要求され大変な思いをしました。
なんと、被害女性から慰謝料400万円を請求されたんです。
なんでそんなことになったのかというと、その下着ドロボーさん、けっこう大きい会社に勤めていた真面目なサラリーマンだったんです。そのことを被害女性も知っていて、それでふっかけられたんだと思うんです。
確かに、下着ドロボーは女性の敵ですよ。私は、別に女性を敵に回すつもりは毛頭ありませんし、下着ドロボーを擁護するつもりもありません。
たとえ未遂とは言え、被害者に不快な思いをさせたことは間違いありませんので、ちゃんと責任を取るべきだし、私も誠実に示談交渉に当たるつもりでした。
正直、その下着ドロボーさんには、400万円を支払う資力はありました。大企業に勤めていましたし、貯金もかなりあったようです。
そう言えば、被害女性もそれを十分見通していて、彼女は、私に対し、「あんな立派な会社に勤めていれば、400万円くらいの貯金ありますよね。OLのワタシだって、そのくらいの貯金あるんですから!」と強弁していたのを思い出しました。
ということで、さすがの私もこれには腹が立ち、下着ドロボーさんには、示談交渉の打ち切りを打診しました。
幸いにして(?)、下着ドロボーさんもこれには逆ギレしてくれて、「じゃあ、ボクも示談なんかしなくていいですよ!」という展開になり、示談交渉を決裂させました。
ということで、示談が成立せず、その女性の被害感情も相当強かったので、この事件は起訴されてしまいました。
その結果、その下着ドロボーさんは、被告人になってしまったのですが、前科もなく、真面目なサラリーマンだったので、保釈が認められ、起訴後すぐに釈放されました。
そして、慰謝料400万円などという不当な要求されたことを弁論で展開し、裁判所の同情を誘う法廷戦術に出て、無事執行猶予付の判決をえることができました。
しかし、この事件は、刑事裁判が終了してからが大変でした。
納得がいかない被害女性は、下着ドロボーさんの自宅に何度も電話して、慰謝料400万円を要求。奥様が半ばノイローゼになりかけたくらいです。これでは、どちらが被害者か分からない。
そこで、私は、その女性に内容証明郵便で警告書を送りつけ、「これ以上不当な要求を継続すると、こちらから債務不存在確認訴訟と、家庭の平穏な生活を害されたことに伴う慰謝料請求訴訟を起こすぞ」と恫喝し、やっと収まりました。
やれやれです。
皆さん、こういう女性も中にはいるので、下着ドロボーなんて、絶対にやってはいけませんよ。