今回は、刑法169条の偽証罪についてお話したいと思います。

 偽証罪は、法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をした場合に成立します。要は、裁判等において証人は宣誓の上で証言を行うのですが、その際に、証人の記憶に反する陳述を行うと偽証罪となると理解されています。

 なぜ、このような罪が処罰されるのかと言いますと、裁判等において偽証が横行してしまうと、裁判手続き等を適正に進めることができないので、国の審判作用の適正さを保つために偽証罪が処罰されていると理解されています。

 もっとも、偽証罪の対象となるのはあくまで証人等(別の規定により、鑑定人や通訳人等も主体となり得ます。)ですので、例えば当事者が宣誓をして虚偽の陳述をしたとしても本条の偽証罪には該当しません。ただ、場合によっては「証人」となり得ますので注意が必要です。

 しかし、いずれにしましても、自分の記憶どおりの証言を合理的に行うことが、自身のストーリーを裁判官に信じてもらえるなによりの近道だと考えられます。