刑法42条1項は、

「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」

と規定しており、自首をした場合は、任意的な刑の減刑事由とすることとしています。

 自首による刑の減刑が認められるためには、

① 自発的な申告であること
② 自己の犯罪事実を申告すること
③ 捜査機関に発覚する前の申告であること

が必要です。以下、各要件を検討していきたいと思います。

1 自発的な申告

 自首が成立するためには、自己の犯罪事実を「自発的に」行う必要があります。たとえば、余罪の嫌疑を持った捜査官の追及によって自己の犯罪事実を申告した場合には、自ら進んで申告したとはいえないため、自発性が認められないものと考えられています。

2 自己の犯罪事実の申告

 自首は、「自己の犯罪事実の申告」である必要があります。したがって、犯人を特定せずに犯罪事実を申告したとしても自首にはあたりません。また、他人の犯罪事実について申告した場合に、結果として、自己が訴追を受けるに至ったとしても自首にはあたらないと考えられています(広島高裁岡山支部昭和30年12月13日参照)。

3 捜査機関に発覚する前の申告

 「発覚」の対象は、犯罪事実及び犯人をいうものと考えられています。したがって、犯罪事実が全く発覚していない場合はもちろん、犯罪事実は発覚していても犯人が誰であるかが発覚していない場合にも「発覚する前の申告」にあたります。もっとも、犯罪事実及び犯人が発覚しているが、単に犯人の所在が判明していない場合は、「発覚する前の申告」にはあたらないとされています(最高裁昭和24年5月14日判決)。