多くの犯罪においては、被害者が存在します。しかし、刑事手続きは基本的に捜査機関側と被疑者被告人・弁護側、それと裁判所という当事者構造をとり、そこに被害者が関与する余地が多くありませんでした。これでは被害者救済に欠けるという意見が生じ、刑事手続きに被害者側を関与させることができるよう、制度が変わってきています。

 こういった被害者側の関与、救済に関しては、刑事訴訟法に規定が追加されたほか、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続きに付随する措置に関する法律」(犯罪被害者保護法)といった法律の制定がなされています。

 その一方としては、被害者側が刑事訴訟に参加することを認める被害者参加制度や、被害者側に公判期日での意見陳述を認める被害者の意見陳述制度といった、被害者を手続に関与させる性質のものがあります。

 また、他方としては、民事上請求の刑事手続内和解や、損害賠償命令制度といった、被害の迅速・確実な回復を図る性質のものがあります。